お昼寝から目が覚めたら、の顔が目の前にあったの。
「・・・きゅぅ?」
首をかしげての名を呼んでも、は目を閉じたまま起きてくれない。
「きゅ!」
きっとに何かあったんだと思ってすぐにご主人様の姿を探したけど・・・どこにもいない。
「きゅ〜・・・」
どうしよう、に何かあったらボク・・・どうすればいいんだろう。
いつもボクの頭をなでてくれる。
いつもやわらかな腕で包み込んでくれる。
やさしい声でボクを呼んでくれる。
大切なのはご主人様だけど、でもボクはのことも大好きなんだ。
「きゅ!」
そうだ、ご主人様を探しに行こう!!
がここにいるのなら、きっと遠くには行ってないはず。
お庭かお部屋か・・・とにかく絶対側にいる。
羽を広げて飛び立つ前に、の頬に頭をすり寄せる。
・・・あったかい。
このぬくもりをボクが守らなきゃ・・・待ってて、すぐにご主人様を連れてくるから。
そう決心するとに当たらないよう気づかいながら、ボクは羽を広げて家中を飛び回った。
「きゅーっ!!」
庭へ出たところで、荷物を持ったご主人様を見つけて大急ぎで目の前に舞いおりる。
「おや、ジープお出迎えですか?」
「きゅーっきゅーっ!」
ちがうよ、ご主人様!!
が倒れちゃってるんだっ!!
必死でのことを知らせようと、ご主人様のまわりを飛び回る。
「・・・何かあったんですか?」
「きゅ!」
そうなのっ、が目を開けないのっ!!
ご主人様の肩に止まって何度も何度も首を上下にゆらす。
それだけでご主人様は気づいてくれたのか、すぐに部屋に入ってのところへ行ってくれた。
部屋に入っての肩に手をのばしかけたご主人様の手がとまる。
「・・・」
何も言ってくれないご主人様の肩から首を伸ばしてその様子をうかがう。
ダメなの?、具合わるいの?
「きゅぅ〜?」
「しぃ〜・・・」
「きゅ?」
なぁに?どうしたの???
ナイショの合図してるけど、そんなに言えないほどの具合わるいの?!
心配で心配でしょうがなくて、の側に舞いおりて顔をのぞき込んでいると、ご主人様がボクの頭をなでながら、小さく口を動かした。
すごく、すごく小さな声。
だけどボクにはしっかり聞こえたんだ。
「大丈夫ですよ、ジープ。」
「?」
「は・・・眠っているだけですから。」
眠って・・・る?
「きっとジープがお昼寝しているのを見て、つられて寝ちゃったんですね。」
もう一度、そっとの顔をのぞき込んで顔を近づける。
さっきは気づかなかったけど、今は・・・が呼吸をしてるのが、分かる。
「・・・」
「眠りが浅いみたいですから、すぐに目を覚ましますよ。」
「きゅ・・・」
「僕は買ってきたお茶菓子を出す用意をしますから、ジープはもう少ししたらを起してあげてくださいね。このまま熟睡しちゃったらお菓子が無駄になっちゃいますから・・・ね。」
ご主人様の言うことは、ちょっとむずしくて分かりにくいけど・・・でも、が元気だって分かってすごくホッとした。
羽をたたんで、の頬にもう一度頭をすりよせる。
――― あったかい・・・
の頬が、さっきよりももっともっとあったかくなってた。
きっとそれはあの窓から差し込む日差しが、をあったかくしてくれたからなんだね。
日向ぼっこ
まさかジープでお題が貰えるとは思っていませんでした(笑)
取り敢えず、ジープ視点と言う事でほんの少し「ひらがな」多めにしてみました。
・・・それ以外にどうやって表現すればいいか分からなかっただけなんですけどね(苦笑)
ジープが丸くなって寝てると、つられて寝ちゃいそうじゃないですか?
それを見て、寝ちゃったヒロインに何かあったと思って慌てるジープのお話・・・です。
お題から、遠い気もしないでもない(汗)
お題作成者:桜花さんへ
久し振りにジープ話を書かせて頂きました。
本当はジープと二人だけにしたかったんですが、ご主人様も登場しちゃいました(苦笑)
その上、ヒロイン・・・喋ってないし(汗)
それでもジープらしい温かな話になったと自分では思っています♪
お題企画に参加して下さってありがとうございました!!