目の前に次から次へと積まれていく書類を見て、ため息をつきながら中尉に尋ねる。
「何故こんなに急に仕事が増えた。」
「中佐の所へ回した書類の承認が終わって、全てこちらに戻って来たからです。」
「何?」
クリスマスに仕事を回せば、少尉も残業するだろう。
ならば、残業後に食事に誘う事も可能か・・・と、思いわざわざ書類を溜めておいたんだぞ?
「中途半端な仕事しているんじゃないだろうな。」
「中佐は大佐と違って真面目に仕事をこなしておられます。」
「・・・随分と酷い言い方じゃないか、中尉。」
「真実です。」
キッパリ言い切った彼女は、新たな書類を私の前に積み上げて自席へ戻った。
「大佐〜、こりゃ今日は帰れそうもないっすね。」
「・・・誰が帰らんと言った。」
「でもそれ、日が変わるまでに上に出さなきゃならない書類ですよね。」
そこまで分かっているなら、何故手伝おうとしない!
「ま、自業自得っすよ。」
「そうですね。」
「あ、じゃあオレそろそろデートなんで、失礼しま〜す♪」
「ほぉ〜・・・上官である私を残して退社するつもりかね、ハボック少尉。」
キラリと目を光らせ、手元の手帳をめくる。
「君の今日のデートの相手は・・・」
「折角掴んだオレの幸せを、また、ぶち壊すつもりっすか!?」
「・・・何も言わず出てけばよかったんじゃないですか?」
「言わずにいられなかったんだろ。」
ぎゃーぎゃー騒ぐ少尉を片手で押さえながら、電話をかけようとしていた私の前に書類が差し出された。
「これで本日の私の仕事は終わりましたので、失礼させて頂きます。」
「おいおい、君まで私を置いて帰るつもりかい?」
「私は本日早退させて頂く・・・と、数日前から大佐に許可も頂いております。」
「・・・」
顔に押し付けるように差し出された紙には、確かに私の一筆が書かれている。
「そ、そうか・・・では、気をつけて・・・」
「僭越ながらひと言宜しいでしょうか。」
「なんだい?」
「少尉は本日私とクリスマスを過ごす事になっておりますので、大佐は安心して仕事に励んで下さい。」
「な、何!?」
「では、失礼致します。」
敬礼をして去っていく少尉にかける言葉が見つからない。
少尉を食事に誘うために、仕事を遅らせた。
だが、その仕事は予想以上に早く終わり・・・まとめて自分の所へ戻って来た。
「・・・大佐って少尉の事になると、本当に運がないですよね。」
「運っていうか、脈がないんじゃないか?」
「どっちにしても、諦めろって事だろう。」
「え〜いっ!こうなったら皆まとめて残業だ!今日は帰さんぞ!!」
「「「えーーーーっ!?」」」
「オレの幸せ〜〜〜っ!!」
山程あった書類を少し片付けた頃、笑顔の少尉がヒューズと並んで帰る姿が・・・窓から見えた。
・・・くっ、来年こそはっ!!
いつになってもムリっすよ、大佐 By ハボック
策士、策に溺れる
当サイトにいる限り、ぜっっっったいに大佐は幸せになれない気がします。
だって大佐がいい思いをする前に、絶対ヒューズさんとかの方へ行く気がする。
でも、それが大佐じゃなかろうか…と思っている今日この頃(笑)
ついでにハボックさんもあまり幸せになれない気が…(以下自粛(笑))
UPする時期と話が全くもって半年ほどずれていますが、ま、書いてた時期が時期ってことでお許し下さい(苦笑)
お題作成者:風宮さんへ
素敵大佐をありがとうございました!!
書類に囲まれた大佐を見た瞬間、あぁこりゃまた何か策を練ったけど結局自分に返って来たんだろうな…と思い、このような話になりました(苦笑)
幸せに出来ず申し訳ありませーーーんっ!!
話は見てのごとく、冬には出来ていたんですが、イラストをどうしよう…と悩みに悩んだ結果、普通に使うことしか出来なかった勉強不足な管理人をお許し下さいm(_ _)m
お題企画に参加して下さってありがとうございました!!