「だーっってめぇらその手を離せ!」
「煩いなぁ、ひよこウサギ」
「しつこい男は嫌われるよ、ひよこウサギ」
「俺はウサギじゃねぇっ!!」
右と左で、引っ張られている。
力の強い二人(三人?)に引っ張られちゃ、いつ腕が抜けるか分からない。
「ほら、お姉さんが困ってるよ」
「こんな顔させるなんて、サイテーだね」
「させてんのはてめぇらだろうがっ!」
睨み合いながら、エリオットは片手であたしの手を掴み、空いている方の手で銃を握る。
嫌な予感がして双子を見れば、やはり片手にあたしの手…もう片方の手に斧を構えている。
――― まっ、まさかっ…
「動かないでね、お姉さん」
「大丈夫、動かなければ切らないから」
「…に傷ひとつでもつけたら、てめぇらぶっ殺す」
「そんな間抜けな事、僕らがする訳ないだろ?」
「そうそう、あんたこそお姉さんに銃弾掠めたら…殺るよ」
「やるわけねぇだろっ!」
「やだねぇ、すぐに怒鳴って…ねぇ兄弟」
「そうだね、兄弟。怒りっぽい男は嫌われるよ…あ、その方がいいか」
「そうだね、嫌われちゃいなよ」
「嫌われねぇよっ!」
声だけ聞いてれば口喧嘩なんだけど、まっすぐ立っているあたしの視界にはさっきから銃弾と斧が何度も何度も通っている。
――― う、動いたら…当る
この世界では、こういうことが当たり前だって、わかってる…わかってるけど。
「待ってろよ。すぐこいつらぶっ殺すから。そしたらニンジンブリュレにニンジンジュースで乾杯しようぜ!」
「新しいおもちゃを買ったんだ」
「うん、とっても素敵なぴくぴく君だよ。お姉さんに見せてあげるね」
やっぱり、怖いよーっ!!!
結局、エリオットと双子の攻撃に当らないよう、直立不動で佇むまま…何度目かの朝昼夜が過ぎたのは、言うまでもない。
VSシリーズ…ってタイトルで押し通します!
今回は帽子屋屋敷ってことで、エリオットと双子です。
本当は双子にも名前呼ばせようかと思ったんだけども、やっぱあの子たちは「お姉さん」だろうと思ったので諦めました。
でも諦めないっ!だって私、名前呼ばれるの好きだから!
何気に可愛いウサギのエリオット、お気に入りです。
双子は言わずもがな、好きでございます。