ここは東京は武蔵野、吉祥寺にあるとあるカフェ。
店の外にCLOSEDの看板が下げられ、店内の掃除をしている時にマスターである三鷹雄一が皆に声をかけた。
「おーい、皆ちょっと集まってくれ」
「どうしたんですかマスター?まだ掃除終ってませんよ?」
カフェ吉祥寺のチーフである栗原太郎が机を拭く為の洗剤と雑巾を持ったまま一番にマスター元へやってきた。
「新しい社員を皆に紹介したいんだ」
「それって女?」
目を輝かせながらいそいそやってきたのはカフェ吉祥寺のフロア担当、大久保真希である。
「バイトじゃないんですか?」
次にやってきたのはフロア担当のバイト、一ノ宮純。
「こんな時期に珍しいっスね」
外の掃除をしていた徳美秀太がほうきを片手に現れた。
彼も純と同じフロア担当のバイトである。
「もうすぐバレンタインで店も忙しくなるだろ。まぁその前に補充しようかと思ってな…ところで皆川はどうした?」
カフェ吉祥寺一番の古株、キッチン担当の皆川ひふみの姿がない。
全員が辺りを見回すがそれらしき人影はどこにも見えなかった。
「うーん。全員に紹介したいんだが…徳、キッチンの皆川に声をかけて来てくれないか?」
「分かったっス!!」
「それには及ばないよ〜」
「み、皆川さんっ!?」
徳がキッチンに向かおうとした時、床下収納庫の扉がゆっくりと開き中から皆川が現れた。
相変らず神出鬼没な登場で全員を怯えさせる人間である。
マスターは胃の辺りに手を置いて、眉間に皺を寄せながら今から紹介しようとしている新入社員が即刻退職しないよう心から祈った。
「…まぁ揃ったんならそれでいい。くん、皆に紹介するからこっちに来てくれ」
「はい」
そういって皆の前に現れたのは…純より少し背が低い、綺麗な長い黒髪の少女だった。
「えっと、以前はお客さんとして通わせて頂いてました、です。不慣れな点が多くご迷惑をかけてしまう事もあるかもしれませんが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします」
「ちゃんじゃん!」
真希は一歩前に出ると早速の手を取り嬉しそうに握手した。
「いつも水曜日の午前中に来て、窓際の席に座ってくれてたよね?」
「知ってらしたんですか!?」
「可愛い女の子の事は忘れ…いてっ!」
さり気なく口説こうとする真希の頭に、徳が持っていたはずのほうきの柄が突然振ってきた。
そんな事をするのは…太郎以外誰もいない。
「自己紹介にかこつけて余計な事をするな。さん初めまして…って言うのもおかしいですね。いつもお世話になってます」
「いいえ。こちらこそ…またいつでもいらして下さいね?」
「勿論です」
「やけに親しげじゃねぇかよ。え?太郎チャン?」
和やかに話をしている太郎との間に、頭にコブを作った真希が割って入った。
「バーカ。さんの実家は薬局で、そこは俺の行き付けの店だったんだよ」
「へ?」
「私、在学中はいつも店の手伝いをしてたんです。太郎さんはいつも新製品の洗剤が出ると
買いに来てくれて…お得意さんだったんです」
「洗剤なんて何処にでもあるのにわざわざ薬局に買いに行くんスか?」
「徳、失礼な事を言うな!」
「そうですよね。彼女の薬局でなきゃいけない何かがあるんですか?」
「純!!」
「へぇ〜そーゆー事か…」
「マキ!変な事を考えるな!!」
半分顔を赤らめた太郎を徳、純、真希が取り囲み何やら話をしている。
本日の主役であるは、それを少し離れた場所からその様子を眺めていた。
「…明日からよろしくね」
突然背後から声を掛けられビクッと体を震わせながらも振り返ると、そこにはスケキヨを抱いた皆川が立っていた。
「あ…はい。こちらこそよろしくお願いします!あ、あの…」
「なに?」
「私、皆川さんのケーキ、大好きです!!」
の声に思わず全員が振り返った。
「それはどうもありがとう」
皆川はいつものように少し妖しげに笑うと、腕に抱いていたスケキヨの手を取りの方へ差し出した。
「この子の名前はスケキヨ、よろしくね」
「あ、はい。よろしくね、スケキヨ」
律儀にスケキヨの手を握り挨拶をするに、スケキヨも低い声でにゃ〜と鳴いてノドを鳴らした。
その時のの柔らかな笑顔に、胃を抑えているマスター以外の全員が思わず見とれてしまった。
こうして男ばかりのカフェ吉祥寺に新たな女性スタッフが入社した。
彼女の名前は。
これからカフェ吉祥寺にどんな風を振りまくのか…それはまだ誰も知らない。
『カフェ吉祥寺で』の話を幾つか書いたのでそれの出だしになる物を書いてみた。早い話がヒロインの設定?
もともとは薬局でバイトをしていて、週一回はカフェ吉祥寺に来ていた常連さんって所です。
ケーキが大好きで皆川の作るケーキのファン。
とりあえず、全員が好印象を持ってくれればいいなぁと…思ってはいますが、私が皆川さん大好きなので、必ず彼が絡むでしょう(笑)
ちなみにタイトル…誤植でも入力ミスでもありません。
「Cafe'吉祥寺に…」がタイトルです(笑)ややこしくてすみません(TT)
『カフェ吉祥寺で』と言う作品があるのは以前から知っていて、一回読んで見たいなぁと思った所某古本屋で見つけて、好みの絵柄とキャラクターの性格(特に一部の方(笑))あとはドタバタって所が気に入りました(意味不明)
そしてやはり某中古屋で「Cafe'吉祥寺でCD5at cooking」を買って…石田さんの素晴らしさに落ちました(笑)
このCD大好きですv無残に切り刻まれるブロッコリーの声とか、殻を剥かれるエビの声とかっっ思わず友人にも聞かせてしまいました(爆笑)
その節は巻き込んでゴメンね…香原さん、ねこさん。一応謝っとく(形だけ)おいおい
いつまで続くか分かりませんが、適当に見守ってやってください(笑)