「・・・」
書物を眺めている横顔を、ただじっと見つめる。
――― 綺麗だなって思った。
あたしと同じ年齢で、男性なのに・・・ヒノエは凄く、綺麗。
ここに鏡がない事にホッとしながら、もう一度視線をヒノエの横顔に向ける。
・・・うん、やっぱり綺麗。
普段はヒノエの気性を表すかのように真っ赤に燃える赤い髪も、日にすけて柔らかな色合いに見える。
普段こちらを向いている時は恥ずかしくて見つめられないけど、書物に向けられている眼差しは真剣だ。
ふと、唇に視線が止まり・・・自然と頬が赤くなる。
昨日、初めて交わしたキスが、胸を、心を、熱くする。
頬を両手で押さえて俯いた瞬間、不意に甘い声が耳元に届いた。
「随分と熱い眼差しで見つめてくれたね。」
「!?」
「・・・姫君は何をご所望かな?」
「べ、別に・・・」
「本当に?」
「・・・」
「・・・本当に?」
きっとヒノエはあたしが望んでいるモノがわかってる。
だからこんな風に楽しそうに笑いながら、あたしの髪に触れてるんだ。
「欲しい物があるなら言ってごらん。」
吐息が耳元にかかる距離で囁かれて、それでも恥ずかしくて口に出来ないあたしの願い。
それは・・・
――― きすして
■して欲しい10のお題■きすして
やっぱり一番最初はヒノエ・・・でした(笑)
ってか、ホントどんだけ頭領好きなんだ自分?
しかも欲しい物を言ってごらんって知ってるクセに聞いてくる辺りも好きだっ!(笑)
どんだけねじくれた性格なんだろう・・・私(遠い目)