向こうに帰るよう、うとうととベッドで眠りかけていた時・・・急に鮮明な映像が脳裏に浮かんだ。



そんな事はない。
彼に限ってそんな事は・・・ない。




でも、胸を支配する真っ黒な固まりが・・・あたしの呼吸を荒くさせる。

「・・・っ!!」

扉を開けて、彼が眠っている部屋へ飛び込む。
気持ちよさそうに枕を抱えて眠ってる姿を見たら、自然と目が潤んだ。
零れそうになる涙を堪えるよう、目元を押さえて・・・彼の名を呟く。

・・・くぅ

「ん〜・・・」

ポツリと呟いた名前。
その声に反応してくれたように、金色の瞳がうっすら開くと・・・ゆっくりあたしの方へ視線を動かし、驚いたように飛び起きた。

どっ、どうしたの!?

「・・・」

「何か怖い夢でも見たのか?」



――― 悟空が、死んじゃう夢を・・・



そう言葉にしようと思ったけど、一生懸命飲み込んだ。
言の葉の力を信じるわけじゃないけど、何故か今この言葉は口にしたくない。
その代わり口から出たのは、ある意味悟空を驚かせる言葉。

「・・・ねぇ、悟空。」

「ん?」

「今日、ここで一緒に寝てもいい?」

「え!?・・・」

「・・・何か、眠れなくって・・・」

「・・・って、ここで!?

驚く悟空を余所に布団をめくると、悟空の隣に体を滑らせた。

「あ、・・・あ、あのっ・・・」

「寝たら向こうに帰るから・・・少しだけ、ここにいさせて。」

あの怖い夢に飲み込まれないよう、お願いだから悟空の熱を感じさせて・・・
その手で、しっかりと・・・あたしを抱いていて・・・お願い。



その思いを込めて、悟空の背にそっと両手を回し・・・囁いた。





――― 
だいて





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■して欲しい10のお題■だいて
えー、何も意味を考えず書いています(苦笑)
言われた悟空が大人か子供かで、随分と内容が変わってくる気がします。
多分、この辺最遊記R7巻辺りのネタバレでしょうね。
(この話書いてた時期がバレるって(笑))