「・・・っ!」

「アスラン・・・」

「・・・」

壁に打ち付けられる手が、うっ血して腫れ上がっている。
何度も何度も、己の非力さを悔やむかのようにぶつけられる拳。
その怒りが分かるから、そして何処にもぶつけられない事も分かるから・・・声をかけられなかった。
でも、それ以上続けると・・・アスラン自身の心が痛む。
唇を噛み締めて、ただ怒りを内に溜め込んでいるアスラン。

「・・・アスラン」

「くっ・・・」

今まで殴りつけていた壁に背を預けたアスランは、そのままずるずると床に座り込んだ。
ゆっくり彼に近づいて、抱きしめていた楽譜ごとアスランの体を抱きしめる。



ずっと、ずっと抱いているから。
アスランが落ち着くまで、ずっと側にいるから・・・
だから、思いを溜め込むのは止めて。


今だけ、今だけは全てを忘れて彼の為に一緒に・・・





――― ないて





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■して欲しい10のお題■ないて
ないてって言える相手が思いつかなくて困ってしまい、最終的にニコルを思って唇を噛み締めるアスランにしてみました!
って、この小話がなければコメントないはずだったんですよねぇ(苦笑)
でもこの辺から説明しないと何の事やらサッパリだと思ってコメント付けてみました。