「ただいま・・・」

「おっかえり〜・・・って、うわっどしたの?

「え?何?」

「何って、頬が真っ赤だよ?熱でもあるの?」

奥で座っていた結城さんが慌てて駆け寄り、頬に手を伸ばす。
ちょっと結城さんの手が触れただけなのに、冷たい風に当たって冷えた頬に急激な熱が加わった。



――― 温かい・・・



「熱なんてありませんよ。」

「・・・あぁ外が寒かったのか、うわっ冷たっ!!!

わざとらしく大げさに手を離す結城さんを見て、少し頬を膨らます。

「それが寒空の中、仕事から帰って来た恋人にする仕打ちですか?」

「あっはー、そうだよねぇ。ゴメンゴメン。」

笑いながら改めて手を伸ばしてきた結城さんから逃げるように、脇を通って2階へ上がろうとする。

「ちょ、ちょっとぉ〜?」

「意地悪な結城さんの手は借りず、自分で温めます。」

「冗談だって!」

「お風呂でも入ろうかなぁ〜?」

「そんなのより、もっと温かくしてあげるって!」

「・・・やっぱりお風呂に入ろうかな。」

「もしもーし、聞いてくれてもいいんじゃない?」

「何か嫌な予感するんですもん。」

「あーらら、随分と勘が鋭くなったコト。んじゃ、君の望む方法で・・・って言ったらどうする?」

苦笑しつつも優しくそう言ってくれた結城さんを見て、あたしはある事を思いついた。
首にかけていたマフラーを外して結城さんの前まで行くと、それを首にかけそっと耳元に囁く。




――― 
あたためて





BACK



■して欲しい10のお題■あたためて
・・・この言い方だと、思いっきり結城さんの思うツボだと思うのは私だけでしょうか?
内心ガッツポーズをしている結城さんの姿が目に浮かびます(苦笑)
いいんです、そんな彼が好きだから!!←若干投げやり!?