「やぁ、姫君。」

「友雅さん!!」

「先日のお礼に、伺ったよ。」

「・・・先日?」



――― あたし、何かしたっけ?



「おや、忘れたのかい?私はあんなに素敵な贈り物を姫君から頂いたのは初めてだったのに・・・」

「え、え〜っと・・・」

普段、失敗ばかりしてるから、そのお詫びに色んな人に色んな物を配って歩いてる気はするけど、友雅さんがそこまでいう物をあげた事、あったっけ?
一生懸命記憶の引き出しを開け閉めしているあたしの前に、桜の描かれた蓋が被せられた小さな器が差し出された。

「ばれんたいん、とやらのお返しだよ。」

「・・・あぁっ!!」

「おやおや、もしかして本当に忘れられていたのかな?」

そんな事ないです!ただ、あの・・・」



――― ホワイトデーってのを知ってるとは思わなくて・・・



実際、バレンタインについても友雅さんは知らなくて(当たり前だけど)しどろもどろになりながら説明して、受け取って貰ったんだ。

「あの・・・開けてもいいですか?」

「勿論だよ。」

初めてサンタさんに貰ったクリスマスプレゼントを開ける時と同じくらいドキドキしながら蓋を開ければ、そこから現れたのは・・・

「こんぺいとう?」

「甘みがまろやかで美味しいと聞いて取り寄せてみたんだが、姫君のお口に合うかな?」

「わーい!頂きます!!」

早速ひとつ取って口の中に入れる。
砂糖の甘みが口中に広がって、日頃の疲れが溶けていくように感じる。

「美味しいぃ〜♪ありがとうございます!友雅さん。」

「礼には及ばないよ。」

「もうひとつ食べちゃおうかなぁ〜♪」

久し振りの慣れ親しんだ甘みが嬉しくて、もうひとつ取って食べようとしたら、その手を友雅さんに掴まれた。

「・・・そんな風に可愛らしい顔で食べられると、どんな味をしているか気になるね。」

「え、あ、じゃ、じゃぁ・・・」

手に持っていたこんぺいとうを友雅さんにあげようとしたけど、それより早く友雅さんの顔が目の前に近づいてきた。

「直接味見させて頂くよ。」





ホワイトデーのお返しは、こんぺいとう





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■ホワイトデー1■こんぺいとう
えー、すみません。友雅さんの時代にこんぺいとうがあるかどうか、調べませんでした。
あったらラッキー、なかったら捏造って事でお許し下さい。
こんぺいとうを差し出す友雅さんが書きたかった、それだけです(キッパリ)