「無理、しなくて・・・いいよ。」
「・・・あぁ。」
「・・・ほ、本当に。」
「分かってる。」
微笑みながらそっと抱き寄せてくれたアスラン。
胸に耳を寄せると、その鼓動がいつもよりも・・・速い。
あぁ緊張してるんだって思うと、自然と口元が緩む。
けれど、あたしのそんな余裕も・・・あっという間にかき消されるとは、この時は思ってもみなかった。
「君が・・・」
「ん?」
「君が側にいてくれて・・・嬉しい。」
「・・・」
「こんな風に俺を想ってくれて、側にいてくれる事・・・本当に嬉しく想う。」
「・・・うん。」
「小さい頃は簡単に言えたけど、普段は・・・あまり口にしてなかったかな。」
「何を?」
「いつも思ってた。笑顔が、可愛いって。」
「!!」
「それに、君の声も・・・耳に優しくて、その・・・凄く、好きだ。」
「アスラン・・・」
「俺の名前を呼ぶ声は、他と違って・・・何処か甘く聞こえる。」
自分からねだっておきながら、実際口に出して言われるとこんなに恥ずかしいモノだとは思わなかった。
崩れそうになる身体に気付いたのか、背中に回されていたアスランの手がしっかり腰に回された。
「どうしたの?力・・・抜けそう?」
「・・・っ!」
「何もしてないのに・・・」
アスランにこんな風に耳元で囁かれる事が、こんなに刺激的だなんて初めて知った。
声を出そうにも動悸が早くて吐息しかでそうにない。
仕方なく首を小さく縦に振って、現在の自分の状況をアスランに伝える。
「頬だけじゃなく、耳まで真っ赤になってるって・・・気付いてる?」
「ほぇ!?」
「・・・隠さなくてもいいよ。もっと可愛い顔、見せて。」
「〜〜〜っ!!」
「ダメだよ。まだ・・・離さない。」
「アスラン〜〜っ!!」
「まだ・・・俺の想い、伝え切れてないから。」
そういうと、アスランの顔がどんどん近づいてきて・・・大好きな笑みを浮かべたまま、こういった。
「・・・好きだよ。」
「〜っ!」
髪を撫でながら、その後も何度も何度も好きだと繰り返してくれるアスランの声が、徐々に熱のこもった声に変わり、その度にあたしの身体は力を無くしていく。
「・・・愛してる。」
そう言われた瞬間、すがるようにアスランの背を掴んでいた手が・・・落ちた。
「君だけを・・・愛してる。」
■ホワイトデー7■甘い囁き
ありえないありえないありえないっ!アスランがこんなに甘いなんてありえないっ!
という訳で、ありえない人に囁いて貰おうと思ったんですが、アスランに耳元で囁かれるのがこんなに殺傷能力高くなるとは思ってもいませんでした(笑)