いつもは騒がしい船も、今日はほんの少しだけ静か。
甲板に置かれた丸いテーブルにはレースの布がかけられ、花が活けられている。
そこへ大きな銀トレイを持ったサンジがくるくる回りながらやって来た。
「お待たせ致しました、レディ。」
「サンジさん!」
「恋の矢に射抜かれたキューピッドの心、お届けにあがりました。」
「うわぁ、ケーキがいっぱい!!」
「君に貰った喜びを形にするなら、本当は船をケーキに変えなきゃなんねぇとこなんだけど、ネズミが多くてね。」
「ネズミって?」
「買出しに追い出した野郎共さ。」
「あはははは!」
「さ、どれでも好きな物を好きなだけ召し上がれ。」
テーブルいっぱいに広がる色鮮やかなケーキ達。
どれから食べようかと目移りしていると、僅かなスペースに温かな紅茶が置かれた。
「飲み物もどうぞ。」
「ありがとう!でもこんなに沢山作るの大変だったでしょう?」
「なーに、大した事ないさ。」
「でも・・・」
「君が笑顔で受取ってくれれば、それだけで充分さ。」
「・・・サンジさん。」
「おっと、いけねぇ。こいつを忘れちゃいけなかった。」
「?」
サンジが胸元のポケットに手を差し込むと、小さな瓶に入った何かを取り出した。
「それ、何?」
「さぁ、何だと思う?」
「お菓子?」
「残念、ちょっと違うな。」
「じゃぁ何?」
「・・・オレの、ハート。」
「え?」
大きな手で小さな瓶から取り出したのは、小さなハート形の砂糖。
それをカップの中に落とすと、それは音もなく紅茶に溶けていく。
「・・・レディの告白は、こんな風にオレのハートをあっという間に溶かしちまった。」
■ホワイトデー9■ちいさなハート型の砂糖
ケーブルでワンピースの映画やってたんですよ。久々に見たんですが、やっぱサンジが好きです!!
恥ずかしい台詞でもサンジなら、ま、いっかとか思ってしまいます(笑)
・・・恥ずかしいっていうか、ありえない台詞ってのが正しいか(苦笑)