突然やけど、俺との中身が入れ替わりました。





「わー…」

「……あれあれ」

「視界が高い〜」

「なんや、千秋が大きゅう見えるわ」

「…………気持ち悪ぃ

目の前で中身の入れ替わった俺たちを見て、眉を顰める千秋。
まぁ、当たり前やろね。

「あはは、千秋のつむじが見える!」

!おまえ、喋るな!気持ち悪い」

「えー、なんで?」

「んーそやねぇ…あんたの口調は可愛いんやけど、俺の格好で言われると寒気がするわ」

なんや、はしゃぐ俺って…傍から見ると、気味悪うてぞくぞくするわ。

「それじゃあ、えーと……なぁ、千秋、もう疲れたわ。今日は終いにして、はよ帰ろ」

「ははっ、そっくりじゃねぇか」

「あとは、こー…髪を弄る仕草とか色っぽいよね」

わざと髪を結んでいた紐をほどいて、恐らく俺よりも器用にそれを結びなおす中身、外見俺を見て、なんだか妙な気分になる。

「俺、そんなに色気駄々漏れやろか」

さり気なく尋ねたはずが、間髪いれず幼馴染同時に頷かれた。

「うん」
「ああ」


「…素直なご意見ありがとう」

髪を結び終えた俺…いや、の元へ足を進め、顔を覗きこむと、不思議と鼓動が跳ねる。

「へぇ…から俺って、こないな風に見えるんやね」

「新鮮?」

「せやね…自分を見上げるなんて経験、そうそう出来へんから」

「それを言うなら、自分を見下ろすっていうのも出来ないよ?」

「自分を見下ろした感想は?」

「……小さいなぁ、と」

「ふふ、そこが可愛えやろ」

「う、うぅ〜ん…」

小首を傾げて考える姿も、普段のならば可愛いが、それが自分だとどうにもぞくりとするものがある。
けれど、そのぞくりとする感覚とは別に…先ほどから、鼓動がどんどん早くなる。



これは、俺の感情なんやろか。
それともの、身体が感じとるんやろか。




「…ほ、蓬生?」

「ちょっと動かんといて」

「え、え…???

めいっぱい手ぇ伸ばしても、届かん…か。
指先しか頬に届かず、背伸びなんて自分の身体では滅多にしないことをしてみれば、ようやく頬に手を添えることが出来た。

やれやれ、自分に触れるんもひと苦労…って、なんで俺、自分に向かってこないなことしとるんやろ。
そんなことを考えながら、やや大げさに首を傾け目の前の人間を見上げた瞬間、あり得んことに…目の前の俺の頬が朱に染まった。

「…………」

あぁ、これか…よく冬に、皆が熱あるんと勘違いするんわ。
確かにこんな顔しとったら、熱あるよう思うてまうわ…幼馴染以外。

「あの、蓬生…一体なにを」

「しぃー…ええ子やから、も少し好きにさせて」

「は!?」

客観的に自分を見られることなんて、早々ない。
せやから、面白い…思うてまう。

それから…面白い点がもうひとつ

俺の意志とは無関係に、さっきからどんどん鼓動が早くなる。
背伸びを続けていて疲れた足が床にぺたりとつくと、目の前に緩く締めたネクタイが見えた。

伸ばし続けて疲れた手で、何の気なしにそれをするりとほどいてやれば、なんや顔が熱い。

「…なんで俺、顔熱いんやろ」

ぽつりと呟き、目の前の開いた襟元から胸元についている傷に気がついた。

「あれ、なんや傷出来とう…知らないうちにどっかに引っ掛けたんやろか」

するりとシャツの合わせ目に手をいれ、その傷を良く見ようと顔を近づけた瞬間、後頭部に衝撃を感じた。

「ば、ばかあああ!!」














「…あぁ、これ今朝爪切った時についたんや」

「珍しいな」

「千秋が朝から電話してくるからやで」

「てめぇが夜、電話した時に出ないのが悪い」

ほどけたネクタイを再び軽く締めると、部屋の隅で小さく小さくうずくまっているへ近づき、声をかける。

「どないしたん」

「ほ、蓬生の…ば、ばかああああ

「ふふ…まだ、感触残っとる?」

しゃがみ込んでいるの耳元に囁いてやれば、頭頂部まで赤いのでは…というほど、顔を真っ赤にして、机の下に潜り込んだ。

「可愛えなぁ」

「……遊びすぎだ、蓬生」

「あれあれ、千秋怖い顔…もしかして千秋もやりたかった?」

「アホ言うなや…見てるこっちが、寒気したわ」

「俺はちょっと自分を客観的に見てみたい思うただけやのに」

「…傍から見りゃ、がお前を襲ってるようにしか見えねぇ」

「…………それ、オイシイな」

「今日ばかりは、の意見に賛成だ。お前は、馬鹿だ

「気ぃ利かせて写メってくれればええのに」

「そんなことしたら、は一生机の下から出てこないぞ」

千秋の声に、確かに…と納得してしまう。



まぁ、そないオイシイことは、いずれ本人にして貰うこととして…
今は机の下からこちらの様子を伺う彼女を見て、軽く跳ねる鼓動に耳を傾けよう。

ffみたいな鼓動は、俺の身体には…耐えられん。





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イロモノですいません…でも、蓬生が美人なのが悪いっ!!(笑)←褒めてます
いやもう本当にこれは病んでる時に書いたので、脳がおかしかったんです、私(認めた)
ってか、このシリーズ全部おかしいけどさ。
でも書いてた自分が楽しかったので、許してくださいませ。
ちっこい自分が蓬生と中身が入れ替わったら、さぞ視線が高くて楽しそうだ。
しかもあんな美人さんになれるなんてっ!!!
ああああ…でもアブサントが泣けるぐらい、音痴になるっ!!
それはなんか嫌っ!!