突然ですが、蓬生に獣の耳が生えました。
「…猫、だな」
「やっぱり猫だよね」
「ちょ、二人ともやめてや…なんやこそばゆい」
触れている手を払うように、猫耳が揺れる。
「はぁ…こないな頭じゃ外にも出れんわ」
「尻尾はねぇのか」
「有り難いことに耳だけや…って、千秋。ケツ撫でんどいて」
「てめぇのことだ、生えててもごまかしそうだろ………ねぇな」
「尻尾もあったら美猫だったのにね」
「、それ…全然嬉しゅうないわ」
がっくり…を表現するかのように、頭部の猫耳もしょぼんと垂れる。
どうしよう……可愛くて可愛くて、しょうがない。
「味覚も変わってんのか?」
「多少…?けどそんなに困るほどのもんやない」
「猫舌…とかか」
「そやね。あとは……」
蓬生が千秋のほうを向いて喋っている隙に、そっと手を伸ばして猫耳を撫でる。
「せやけど本当に……っん」
親指で猫耳の内側を撫でた瞬間、蓬生がぴくりと肩を揺らして声をあげた。
思わず洩れた声に、バツが悪そうに蓬生が口元を手で覆ってこっちを向いた。
「…突然なんやの」
「ちょっと撫でてみたくて…えと、痛かった?」
「そうやなくて…っ!」
今度は千秋があたしに代わり、蓬生の猫耳に手を伸ばし、撫で始めた。
「千秋っ…」
「やけに耳が敏感になってるな」
「わかっとるん…やったら、やめてや」
「アホ言うな。お前だったら、こんな面白いこと…やめるか?」
「……やめへん、ね」
「わかってんなら、大人しく撫でられろ」
「千秋やったら、大人しく撫でられへんやろ」
ソファーに座っていた蓬生が、千秋から逃げるよう下がっていく。
けれど、力が抜けているのか…どう見ても千秋が優勢だ。
「あかん、て…ちょ、…助けてや」
「女に助けて貰うなんざ情けないな、蓬生」
「そんなん今は…どうでも、ええ…っ…て」
こっちに手を伸ばしてくる蓬生は、普段滅多に見れないほどに目を潤ませていて…千秋から逃げるせいで髪も乱れている。
「…」
頭には猫耳があるのに、なんだってこんなに色気溢れてるんだ!?
…と、思いつつも助けを求められたのだから、その大きな身体を抱きしめて、蓬生の耳を弄ってた千秋の額にデコピンをする。
「やりすぎ、千秋」
「っつ」
「はぁ………」
「お前がやり始めたんだろうが」
「まぁ、きっかけはあたしだけど…こんなにぐったりするまで虐めなくてもいいじゃん」
しがみついている蓬生の乱れた髪を手ぐしで整えてあげながら、千秋を睨む。
「お前も楽しんでたくせに」
「………う゛」
普段と違う蓬生に見惚れてました…ごめんなさい。
「まぁいい。喉が渇いたから、何か飲み物を取ってくる。待ってろ」
「うん、ありがとう」
ぱたん…と千秋が部屋を出て行ったので、いまだしがみついている蓬生の肩をぽんぽんと叩く。
「もう大丈夫だよ」
「………あかん」
「ん?」
ぽそりと呟いた声を聞き逃し、なんだろう…と顔を近づけると、むくりと起き上がった蓬生が首筋に噛み付くようなキスをした。
「なっ!!」
「…猫の耳て、あんま刺激せん方がええみたいや」
「ちょ、ちょっと」
首筋を甘噛みしながら、しがみついていた手が背中を撫で回す。
「蓬生っ!!」
「その気になってもうた」
そのまま、ソファーに押し倒されたかと思うと、蓬生の目が…まるで猫のように細められた。
「責任…とってな」
「尻尾はなく、味覚も変わらない…が、本能は猫だったってことか」
「千秋、わかってて耳触ったんやろ」
「あんな変な声あげりゃ、当然だ。だから気を使って、部屋を出てやった上、2時間戻らなかっただろうが」
「お気遣いありがとう…言うとこやろか」
「まぁ、すっきりして元に戻ったんなら、良かったじゃねぇか」
「そやね」
「いいわけあるかー!!」
何事もなかったように、のんびりお茶を飲んでいる幼馴染たちに反し、あたしはソファーに横たわったまま起き上がることすら出来なくなっていた。
「…もう、猫にちょっかいなんて出さない!!」
獣はやっぱり、イロイロ凄かったです。
イロモノですみません…パート2(苦笑)
丁度いいので、2/22…猫の日にUPしてみました。
発情しちゃうのがどこだったか…尻尾だったっけか?とか思いつつ、まー耳でもいいやって書きました。
はい、とりあえず猫に謝ろう…ごめんね、猫。
あー…ついにやっちゃったな感がありますが、楽しかった(おい)
いいじゃないか!猫耳!可愛いじゃないか猫耳!!
好きなキャラに猫耳いいじゃないか!
………はい、もう一度謝っときます…すいませんm(_ _)m
人としてダメというか、ヤバい気がして来た(苦笑)