年始の挨拶にわざわざ来たやつをそのまま帰すのもどうかと思い、家に招きいれ、たまたま買っていた甘酒を出してやった。
あんまり飲んだことがない…と言って、嬉しそうに飲みだしてから…5分。

目の前にいるのは、頬を染めて身体を僅かに揺らしている…酔っ払いの姿。

「…甘酒で酔うなんて、器用なやつだな」

酔ってませ〜ん…

「ほほぉ…」

「ただ、ちょーっと熱いだけで…ちょっと…眠い、だけぇ…

「…そういうのを酔ってるって言うんじゃないか?ん?」

軽く額を指先でつつけば、その反動で、ぐらりと身体が揺れる。
一応倒れないよう背中に手を回してやったが、寄りかかる手前で身体は前へと戻っていった。

ほらぁ〜酔って、なーい

「…酔ってるだろ、充分」



やれやれ…どうしたもんか



ため息を飲み込んで、自分の甘酒を飲み干すと同時に肩に重みを感じた。
それが隣に座っていた者の重みなのは明らか。

「…おいおい、大丈夫か、

ん〜…なんか、気持ちいい〜

「んじゃ、その辺でやめとけ。折角のいい気分が悪くなったら嫌だろう?」

「…ん」

ぽんぽんと宥めるよう肩に乗った頭を撫でてやれば、素直にこくりと頷いた。

「よし、いい子だ。少し眠るか?」

「いいの?」

「あぁ…」

「じゃ…少し、
だけ…

それを最後に、賑やかなテレビの音に紛れて、静かな寝息が耳元で聞こえ始めた。
身体を動かさないよう注意しながら、リモコンに手を伸ばしてテレビを消す。



静かな部屋に響くのは、の規則正しい寝息だけ…



「…ま、たまにはこういう正月も悪くない…か」

窓の方へ目を向ければ、冷たい風が揺らしている木々が見える。



風に揺れるあの木々のように、今年も俺は…コイツに揺らされるんだろう。

様々な表情を見せて、俺を捕らえて離さない
…誰よりも魅力的な、この女に




ふと目の前に残っているカップの甘酒に目が止まり、手を伸ばす。
口をつける前に、聞いていないと分かっているが、ついに声をかける。

「お前さんの残りの甘酒は…没収、な」

また、これを飲んでお前さんが寝ちまったら、つまらんだろう?
だから…こいつは、没収…だ。

目が覚めたら、今度はいつものようにコーヒーを淹れてやるよ。
そしたら、ちっとは俺の相手もしてくれや。





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2009web拍手、名前変換入れて手を加えて再録。
この時は捕らわれ、揺らされているのが金やんでしたが、今ではすっかり私が揺らされてます。
そして酔わせていただいています。
あぁ…金やん愛しいっ!!
本当にコルダはちょっとした資料が欲しいよなぁ…金やんが大家さんのいるアパートに住んでるってのはわかるんだけど、それ以外わかんねぇんだもん。
とりあえず、私は甘酒数えるほどしか飲んだことありません。
片手…も飲んだことない、かな。
だってあれ熱いじゃん←猫舌(苦笑)