「おー、

「金やん!」

「いや〜、こんなに早くお前さんに会えるなんて今日はツイてる」

「…は?」



――― 職権乱用、ってことぐらいわかってるさ



「まさか…」

何かを察して後ずさり始めたの肩に、わざと音を立てて両手を置く。

「猫神さまならぬ、さまさまってな」

「まさかーーーっ!!」

おいおい、お前さん。
そんなにでかい声をあげると、周りのヤツが何事かと驚くだろう。

けど、それも…いつものコトってな。

「あたしっ、一昨日片付けたばっかりだよ!?」

「そう。お前さんが片付けたのが、一昨日。そんで、知識の泉に若人たちが群れをなしてやって来たのが…」

「来たのが?」

「………昨日だ」

「うっそぉーっ!!!」

「と、いう訳で。今日の放課後、音楽準備室で待ってるぞ〜」

ぽんぽんっと頭を撫でて、くるりとに背を向ける。

「ちょっ、金やん?!」

「ま、片付けた折には茶でもご馳走してやるから、頼んだぞ〜」

もし、俺がお前と同じ学生だったら…なんて、考えたことがない…とは言わんよ。
だが、それはどう考えも不可能で、もし、そうだったとしても…今の状況じゃなけりゃ、お前さんをこんなにも気にかけたりしなかっただろう。

「…っと?」

ぐっと白衣を掴まれて思わず足が止まる。
前を向いたまま首だけ後ろに向けると、上目遣いで俺を見つめる瞳があった。



――― この輝きが眩しくて、目をそらした時もあった…



「ね、金やん!」

「ん?」

「コーヒーにケーキもつけて!!」

「…あのな、ここにゃ売ってないだろう」

「う゛…」

「しょうがねぇなぁ……貰いもんで良けりゃ、ドーナツ、つけてやる」

「それでいいっ!!」



だが、今は…
誰よりもそばで、いつまでもその輝きを見ていたい…そう、思うようになった。




「それじゃあ放課後ね!」

「あぁ」

「ドーナツ約束ねー!」

「へいへい」

そのまま軽やかな足取りで去っていく姿を見ながら、自然と緩みそうになる頬を手で覆う。




お前さんと過ごすために、授業で使った資料を放置している…なんて知ったら、職権乱用って怒るか?
けどな…そうでもしなきゃ、お前さんをそばに置けんだろう。

使える特権は、なんでも使ってやるさ。

「…お前のためなら、な」





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教師だからこそ出来ることをしたいな、と。
寧ろ金やんだからこそ、こー…色々やりたいな、と。
…ってな事考えてたら、何をしたいかわからなくなって来た…と(笑)
そんなどうしょうもない状態ですが、教師と生徒の…と来たら、このお題やらねばならん!とか妙な使命感が沸いてきまして、出来るのだけ手を出してみました。
職権乱用、万歳!!(おい)