あくびをかみ殺しながら、毎年行われている終業式が終わるのを待つ。

…校長の話ってのは、どうして毎回こうも長くなるもんかね。
大体同じ話なんだから、以下省略とかにしてしまえばいい…なんて、いうとまた不謹慎だって言われるんだろうな。

時間を見るついでに何気なく視線を生徒の方へ向けると、普通科の生徒の中に…を見つけた。
同じ制服を着て、似たような背格好のヤツが山ほどいるってのに、どうしてお前だけはすぐ分かるんだかな。

じっと見つめていると、俺と同じように眠そうな顔をして前を見ているが、ついに堪えきれなくなったのか手で口を覆ってあくびをした。
そこを運悪く担任が通りかかり、注意されたのかすまなそうに頭を下げている。
思わずふき出しそうになったが、そうなると今度は俺が睨まれる。
こほん、と小さく咳払いをしてから、何事もなかったように視線を校長へと戻した。



フルートの音色が違うのと同じ、かもしれんな。
どんなに沢山の生徒がいたとしても…もうお前は…俺にとって、特別な存在、に違いない。
だから、つい見ちまうんだろう。




お前さんのいる場所が気になって、様子を伺うフリをしながらついつい視線を向けちまう。

校長の話が終われば、嬉しそうな顔をして…
見知った顔が壇上で話し出せば、まるでそばで聞いているかのように相槌を打って…



何気ない仕草に、目が惹きつけられるなんて…
これじゃあまるで太陽の方を向いて成長するヒマワリみたいじゃないか。

やれやれ、柄でもない…
けど、その通り…かも、しれん




…太陽、ね

「どうかしましたか、金澤先生?」

「あ、いや。最近曇りがちで洗濯出来んなぁと思いまして」

「あぁ確かに」

「太陽が恋しいですよ」

ポツリと呟けば、声をかけてきた同僚が珍しく驚いた顔をした。

「金澤先生は、暑いのは苦手でしたよね?」

「俺は苦手でも、洗濯物には重要ですからね。寝坊して昼から干しても乾きますから」

「違いない」

そんな雑談をしていたら壇上の校長がじろりとこちらを睨んだので、何食わぬ顔をして視線をそらす。
そして再び…俺の視線は、制服の波に埋まっている、たったひとつの太陽へと向けられた。





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好きな人って、どんな人混みでも見つけられるじゃないですか。
だから、人がいっぱいいる場所でも、自然と目に飛び込んで来ると思うんですよ。
私がそのタイプ(どんなタイプ(苦笑))で、気になる相手を花火大会の人混みで誰よりも先に見つけたのが自慢です。
…ま、今の旦那さんですけどもね(笑)
お後がよろしいようで〜……って、馬鹿かっ!自分!!!
いやいや、その前に今の旦那さんも、前の旦那さんもいないよっ、私!

…そして、全く持ってコメント関係ない方向へ行ってるのに気づいて、自分(苦笑)