「なんで!?」

「落ち着かんと、見つかるもんも見つからんとちゃうん」

「だって早くやりたいのにっ!!」

むきーっといいながらパソコンとUSBで繋いだPSPを睨む。

「ふふっ…ええな、その台詞。な、俺に向かって言うてくれへん?」

「やだっ!」

「……残念。今なら意味もわからず言うてくれる思うたのに」

「これが見つかったらやるっ!」

次の予定はすでに30分以上オーバー。
予定ではもう家をでて電車に乗ってる時間だ。
それでもソフトは見つからないし、やり方に書いてあるソフトのダウンロードは完了してる。

「うぁあああんっ!ソフトどこぉっ!?」

「ほんま、あんたは可愛えなぁ」

「ねっ、教えて教えて!」

半分おかしくなりそうな勢いで背後にいるであろう彼の方を向けば、あたしのお昼寝用枕のメリーさんを胸に抱いてごろりとソファーに寝ころんでいた。

「最初に自力でやる、言うたんはやん。頑張って探し」

「えええええっ!?」

「それに、俺、この後置いてけぼりくらうし…寂しゅうて起きてるのもしんどいわ」

「だ、だってだって」

ふわぁ…あー…なんや眠なってきた。あんたが帰るまで、一緒に寝よか」

ぎゅっとメリーを抱きしめる彼の姿を見て、胸にもやっとしたものが浮かぶ。
2時間近くかけて出来ない作業に苛立ったのも手伝って、今までインストールしたソフトを全削除するようパソコンへ指示を出すと、ソファーに寝ころんでる蓬生のもとへ向かいメリーをその腕から引き剥がす。

「人が気持ちよう寝よう思うたのに、なにするん」

「…帰ったら続きやる」

出来ないイライラが全面、もしくは全身から現れているだろうあたしを見ても蓬生は変わらない。

「それがええよ。焦ってやると、出来るもんも出来んようになる。帰ってからならなんぼでも時間あるんやから、ゆっくり出来るやろ」

「…ん」

「ええ子やね」

よしよしとでもいうように、頭をなでてくれる。
ささくれだった気持ちをなだめるように。

「行く準備は出来とう?」

「…今から」

「まだなん?アホやねぇ」

「早くゲームやりたかったんだもん」

「やりたいのが俺やなくてゲームなんが残念やわ」

苦笑しながら頭をなでてくれていた手が、ぴんっと額をこづいた。

「はよ準備せんと、俺があんたを出かけられんようにしてまうよ」

「…そ、それは…ダメ」

「せやったら、ほら…行き」

「…うん」

「俺はあんたが帰るまで、ここでええ子に休んどるわ」

床に落ちていたメリーを拾い上げ、抱きしめると彼は再びソファーへ長い足を折り曲げるようにして横たわる。

「…いい子に待っててね」

願いを込めて、その額にそっと口づける。

「そっちやのうて、こっちがええな」

にっこり笑顔で自らの唇を指さす蓬生の額を、さっきされたお返しとでもいうように指でつつく。

「蓬生がいい子にしてたら、ご褒美にあげます」

「あれあれ、立場逆転してもうた」

「じゃ、用意するから」

拗ねるようにメリーを抱き抱え、再度丸くなった蓬生の頭をひと撫でしてから、用意をすべく立ち上がる。





さぁ、出かけよう!!





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はい、こちらは優しい友人にお借りしたPSPコルダ3の追加配信イベントをインストール出来ず、きーきー言っていた時に書いたものでございます。
日記にUPしたのを、一部書き換えてUPしました。
経験を全てに生かすというのが、このサイトの管理人でございます(笑)
出掛けに軽くインストールして、移動中やろうとか、帰ったらすぐ出来るようにしとこうとか思ったら…全然できないでやんの!
ほんっと困りました…あれ、難しくね!?
でもちゃんとできましたから…というのが、次のお話でございます(笑)