「……で、きた」

出かける前には散々手こずったのに、今はきれいにあっと言う間…とまでは言わないけれど、さくっと出来た。

「できた!出来たよ、蓬生!」

「俺の言うたとおりやろ。焦ると出来るもんも出来ん、て」

「だね!」

ちゃんとPSPにDL出来たか確認すべく、床にぺたりと座り込んで電源をいれる。

「ご機嫌やね」

「だって2時間やっても出来なかったのが、30分だよ?」

「セットアップしとる間にお風呂入ろ言うてたのに、それもせんとやっとったもんなぁ」

「…途中で変なことになったら、困るかなぁって」

床に座り込んでいるあたしの後ろから、蓬生も画面をのぞき込む。

「で、どこにあるん?」

「んっと…想い出の…」

言いながらカーソルを動かして、想い出を開く。

「あったああ!!!」

「おめでとう」

「うんっ!これで出来る!」

うきうきと名前登録を開き、ヒロイン名を変える。
そのままゲームを始めたい気持ちを、なんとかぐっっっと堪え、一度電源を落とした。

「ゲームやらんの?」

「これはいつでも出来るようになったから、とりあえずお風呂入る」

「顔はそうは言うてないようやけど」

「…そりゃ、やりたい気持ちいっぱいですから」

「ま、俺もまだええ子にしてた褒美もろてないから、電源切ってもらえて万々歳やけどね」

「あ」

確か出かける前に、いい子にしてたらご褒美を…と言った気がする。

「待たされた分、イロつけてもらわんと…ね」

「いやいや、イロもなにも…」

「さて、お風呂入ろか」

当たり前のように腕をつかんで立ち上がった蓬生に、思わず間抜けな声をあげる。

「はぁ?」

「はぁ?…て、あんたが今言うたんよ。お風呂に入る、て」

「…いや、まあ、それは言った…けど」

「せやから、一緒入ろ」

「……は?

「ソファーで寝ると、やっぱ狭いわ…湯船でゆっくり身体伸ばしてほぐさんとなぁ」

「だったらひとりで入れば?あたしほら、待ってるし」

ぐっと足に力を入れて立ち止まると、蓬生はやれやれとため息をついてから振り向いた。

「往生際悪いこと言うてると、ここで褒美もろてしまうよ」

「お、おうっ!」

「…本当に、ええんやね」

細められた瞳が、きらりと光ったように見えて、半歩後ろに下がる。

「逃げたらあかんよ。キス出来んわ」

「……いや、あの…なんか、身の危険が…」

「あぁ、それはあるやろね。フローリングは背痛めるから、出来ればやめてあげたいんやけど」

「なんか違うっ!方向ずれてるっ!」

蓬生との距離を保つよう片手を伸ばして、なんとかとどめる。

「じゃあ、2択な。ここでご褒美をくれるか…」

「のー!」

「……まだ言うてへんけど、今NO!言うたら、必然的に次を選ぶことになるんよ?」

「ここじゃなきゃいいっ!」

「…ほな、お風呂行こか。大丈夫、のぼせん程度で切り上げるわ」

自分の短絡思考と素直さを、たまに呪いたくなることがある。
でも、思ったことを告げるのは悪いことじゃないと思うんだ。

「ほ、蓬生の…体調、は…平気なの?」

「俺はあんたが出かけてる間、ええ子にぐっすり寝とったよ。あそこにおる、かわええ羊さんが証人や」



――― いい子にしてたらご褒美をあげる



そのご褒美は確かキスだったはずだが、後に回してしまったことで、ずいぶんと大きな利息がついてしまったようだ。

「ほな、行こか。ゲームよりも、リアルのがええって教えたるわ」

掴んだ手に軽く口づけて、足取り軽く風呂場へ向かう蓬生の背に向かって、どっちもどっち…と声に出さずに呟いたのは言うまでもない。





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帰宅してから、別のPCでチャレンジしたところ、あっという間に出来ました。
いやー、やっぱり人間焦るとダメですね(苦笑)
まぁ、実際は最初に使ってたPCが重かったってのもあると思うんですが。
おかげさまで無事、コルダ3の追加配信イベント出来ました!
超楽しかった!神戸来訪っ!!
千秋の芸術的アレと、執事蓬生!!!
どうせならフルボイスにしてくれよとか言いたいところでしたけどね。
だってあんな甘い台詞なのに…何故ボイスなしなんだ!
異人館へ行くコースは全員が大好きなメンバーだったので、幸せでたまりませんでした。
副部長対決はときめくね!本当に。
でも執事衣装の蓬生のイラストは、もうちょい頑張って欲しかっ…げほほ…