「うぅ〜〜…」

「おいおい、どうした」

「きぃ〜もちぃ〜わるーいぃ〜」

「やれやれ…」

ソファーに腰を下ろし、寝転がってるの頭をぽんぽんっと軽く叩く。

「ほれ、こっち来い」

「う〜」

「今ならお前さんの好きなアニメやってんだろ。見ないのか?」

「み〜る〜」

リモコンを弄り、最近この時間欠かさず見ているチャンネルに合わせてやる。
けれど、寝転がってるはこちらへ来る気配は無い。

「……」

立ち上がって、寝転んでいるの体を抱き上げる。

「わっ!」

「床なんぞで寝てないで、こっちに来い」

抱き上げたままソファーへ腰を下ろし、の頭を自分の胸に乗せる。

「こっちのがよっぽどいいだろ…ん?」

「…う、うん」

僅かに染まった頬を見て、安堵する。
ついさっきまで…ただでさえ白い肌が、冷え切ってたからな。
少しは…落ち着いたのだろうか。

「ま、大人しくテレビ見てろ」

「うん」

アニメとは思えないジャズが流れると同時に、の視線はテレビに固定された。
前を向いたままのの柔らかな髪を撫でてやると、肩に入っていた力が徐々に抜けるのがわかった。

「…エドだ〜」

「ほー」

「犬、可愛いでしょ」

「猫はでないのか?」

「うん」

「…ねぇ、金やんの嫌いなもの3つって何?」

「タダじゃ教えてやれんな」

テレビを見ている間の、他愛無い会話。
こんな時間を過ごすことで…お前さんの気持ちが穏やかになるなら、いくらでも付き合ってやる。










「…終わっちゃった」

「そうだな…寝るか?」

そう問いかけると、顔を隠すかのように体を反転させて抱きついて来た。

「…もちょっと、こうしてていい?」

「あぁ…」

軽く抱きしめつつ、もう片方の手でぽんぽんっと、いつものように頭を撫でてやる。

「…ありがと」

「ばーか…礼なんて言うな」

「?」

「…惚れた女抱いてて、礼を言われるなんておかしいだろ」

「……ば〜か」

耳を赤くしながら、くすくす笑う姿を見て、口元を緩める。



そう…それでいい。
そんな風に、小さなことに反応してる…そのままのお前で。

眠れないのなら、こうしていればいい
お前さんが、ラクになれる場所がここなら…
いくらでも、そばにいてやるさ





BACK