悟空はいつものように金蝉の書類に悪戯書きをし、頭にハリセンを受ける前になんとか逃げ出した。
ほとぼりが冷めるまで(そんな事は無いが)ナタクの部屋に居ようと決め、廊下を走っていた。
あと少しでナタクの部屋…という所で曲がり角から急に人が飛び出してきて思いっきりぶつかってしまった。

「「っっつつ〜」」

二人とも額を押さえてその場にうずくまる。やがて数人の声が遠くから聞こえてきた。
悟空が額を押さえながら顔を上げると、目の前の少女が悟空の手を掴んで側の空室に飛びこんだ。突然の事にバランスを崩し二人は床に倒れこんだ。

「何すんだ…」

「しっ!黙って!お願い…」

少女が悟空の口元に手を置き音が漏れるのを防いだ。悟空は言葉を飲み込み大人しく嵐が過ぎるのを待った。
少女が外の様子を伺っている間悟空は少女をじっと見つめていた。

(うわーでっけー目ー)

それがその少女の第一印象だった。大きな瞳は悟空が大好きな力強さを秘めていた。
少女は悟空と同じ位の背格好で身に着けている物は侍女が着ている物に近い。
部屋の前まで来ていた声は徐々に遠ざかり少女はほっと胸を撫で下ろした。

「ごめんごめん、ちょっと追われててさ♪おかげで助かっちゃった♪」

「助かったって…オレ…何もしてねーよ。」

悟空が首を捻る。少女は服に付いた埃を払う様に全身を叩いた。

「?だって今一緒に隠れてくれたでしょ?」

他愛無い一言が何だか嬉しくて悟空はあっさり納得した。

「そっか…うん!そうだな。なぁ、名前なんて言うの?オレ悟空!!」

「私?私は光明歌姫…ううん、って言うの。」

かぁ…すっげー似合ってる!」

「ありがとう、悟空もカッコイイよ。」

褒められて素直に微笑む悟空。それを見ても笑った。

「ところでは何で追われてんだ?」

「んーちょっと色々やっちゃってね…説教受けるの嫌いなの。」

ぺろりと舌を出したのあどけない笑顔に悟空は思わず頬を染めた。

「オレも金蝉に説教されそうだから逃げてんだ。」

「こん…ぜん?」

が悟空に気付かれぬ様に眉を寄せた…がすぐに隠れていた部屋の窓を開け、次の逃亡先へと向かう準備を始めた。

「これからナタクって子のところ行くけど…一緒に行く?」

「オレもナタクのトコ行くとこだったんだ!」

は軽々と窓を飛び越え庭に出ると、懐に隠していた靴をはき一気に走り始めた。

「じゃぁ一緒に行こう。競争だからね!」

走り出したの背を悟空は慌てて追った。

「負けねーかんな!」



これが悟空と光明歌姫の出逢い
まだ、歯車は周り始めたばかり…





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さて、これで全員無事に出会うことができました。(よかった…。)
他の話も徐々に手直ししてUPしていきたいと思います。
出逢い編は全員を「いつ」「どうやって」合わせるかちょっと考えました。
その結果この順番、こんな場面になりましたが如何でしたでしょうか!?