「金蝉。コイツお前のトコで面倒見てやってくれ。」
「あ゛?」
ある日上司である観世音菩薩に呼び出されお願い(命令)された。そして観世音菩薩の横には利口そうな12歳位の少女が1人…。
「今まで俺のトコで飼ってたんだが、最近物騒でなぁ…。だから任せた。」
「おい!アンタの所で物騒なら俺の所に置いても意味ねーだろう?」
最もである。
しかし観世音菩薩はかまわず話を続ける。
「俺の周りのヤロー共がみ〜んな光明に熱上げちまって…夜這いが跡を絶たん。」
「…。」
「まぁ盛りがついたんだろうなぁ…。」
「あのなぁ…。」
「お前のトコなら手を出すバカも少しは減るだろう。」
金蝉は大きな溜息を繰り返しながら改めて光明と呼ばれた少女を見た。1、2度天帝の宴で歌を歌っているところを見たことがある。
確かに見目麗しい美少女だが歌声以外にそこまで人を惹きつける何かがあるようには到底思わない。(それこそ皆が夜這いをするほどとは…)
そんな金蝉などお構いなしに観世音菩薩は光明に言い聞かせる。
「、甥の金蝉童子だ。ツラはイイが中身はオレ以上に屈折してる。退屈はしねぇはずだ。今日からコイツのトコに行け。」
観世音菩薩の言葉に何の反応も示さない少女に金蝉の苛立ちが募り始めた。
「俺の館は避難所じゃねぇ。他の所に連れてけばいいだろうが!」
金蝉はそれだけ言い捨てると踵を返し扉に手を掛け、その場を去ろうとした。その時後頭部に何やら硬い物が当たった。
足元に落ちた物を拾い手に取ると、それは光明のイヤリングだった。
「菩薩ちゃんになんて態度なの!!アナタの上司でしょ!!」
「…あぁ?」
今まで大人しくしていた光明がその口を初めて開いた。隣で観世音菩薩と二郎神が頭を抱えた。
睨む金蝉の視線を容易く払いのけ、ずかずかと金蝉に近付きその顔に指を突きつける。
力強さを秘めた瞳が金蝉の視線とまともにぶつかった。
「上司に対してその態度はなんなの!」
「…コイツは何様だ?」
怒り沸騰している光明の頭を片手で押さえ、金蝉が観世音菩薩に尋ねた。
ソッポを向いている観世音菩薩に代わり二郎神が答えた。
「もともとは観世音菩薩様の侍女でしたが、歌の才能を観世音菩薩様が見抜きまして…それから歌姫へとなられた御方です。」
「アンタが敬語を使うってことは…結構な地位ってことか?」
「あの…それは…」
慌てて何かを言い渋ろうとする二郎神をその場から去る様言い渡し、観世音菩薩が光明を側へ呼んだ。
光明は観世音菩薩の膝に甘える様に頬を寄せ、観世音菩薩もその頭をまるで猫でも撫でる様に優しく撫でた。
「…コイツは俺の小鳥だ。俺が育ててここまで成長させた。だが、このままじゃコイツの視野は俺のトコの黒いモンでいっぱいになっちまうだろ?それに…お前に任せるのが一番だと思った。」
観世音菩薩の思いがけない言葉に金蝉と光明の二人が声を無くす。観世音菩薩が自愛(?)の眼差しを光明に向けた。
「金蝉の所に行って…色々見て来い。飽きたら戻ってくればイイ。」
「戻っていいの?」
「あぁ、金蝉に襲われそうになったら戻って来い。」
「うん!わかった!」
「おい!!」
金蝉が青筋を立てて体を震わせる。
「オレはコイツになんか興味はねぇ!」
「じゃぁコイツが行ってもかまわねぇよな?金蝉童子?」
…観世音菩薩にはめられた事に気付き動きを止める。
光明は巧みに騙され、観世音菩薩の意図に気づかないまま素直に荷物を持って戸口に立っていた。
「金蝉。光明を頼むぞ。」
「…(怒)」
不満全開の金蝉の後ろを光明は数歩遅れて歩いていく。
時折振り返りながら戸口に立つ観世音菩薩に手を振り返す。
そして二人の姿が観世音菩薩の視界から消えた。
これが金蝉と光明歌姫の出逢い
まだ、歯車は周り始めたばかり…
こんな調子で全員と出会って行きます。
金蝉と一番最初に出会い、当時の貴女の年齢は12歳です。
悟空よりも先に金蝉の元へ行ってしまいます。金蝉の生活を掻き回しに行きましょうv
そんな貴女の秘密。(秘密と書いてネタ振りv)
貴女の育ての親は…なんてのを菩薩ちゃんドリで書いてみたいと思います。
お楽しみに!?
さぁ、気を取り直して天ちゃんに会いに行きましょう!