「あ〜・・・」

「煩ぇ。」

「だって三蔵〜・・・」

「何回言わせりゃ気が済むんだ!大人しく座ってろ!!」



バッシーン!!



取り出したハリセンでの頭を叩く。

「っつ〜・・・」

頭を抱えてうずくまったに背を向けて、椅子に座るとテーブルに置いてあった新聞を開く。
ったく、今日の天気は一日中変わらんと何度言えば分かるんだあいつは。
苛々しながら新聞をめくり、ふとその中の一箇所に視線を止める。



天気予報・・・7/7 今日の天気は ――― 










カタンと言う音と共に、が目の前の席に座って恨めしげに窓の外を眺める。

「折角飾り付けしたのに・・・」

「諦めろ。」

「三蔵が作った輪飾りも濡れちゃうね。」

「・・・作ってねぇよ。」

てめぇらが勝手に巻き込んだんだろうが!
何で俺がガキみたいに工作に借り出されなきゃならん!
けれどその思いを目の前にいる女にぶつけても意味がない。
仕方なくその思いを飲み込むように、冷めたコーヒーで一気に胸の中に流し込んだ。
いつもより、少し濃いコーヒーが・・・ノドに染みる。
暫く雨の音だけが俺達を支配していたが、不意にがポツリと呟いた。

「お願い・・・届かないね。」

「あぁ?」

「皆が短冊にお願い書いたでしょ?雨が降ってると空の神様、お願い事読めないじゃない?」

「・・・」

「折角お願い、したのになぁ・・・」

今日一番のため息をついて机にコツンと額とつけるの姿が、いつもより小さく見える。
別にコイツがいくら落ち込もうと、悩もうと俺の知った事じゃねぇ・・・知った事じゃ、ねぇが・・・。

「・・・ったく、願いなんざ人に頼ってどうする。」

「三蔵?」

「神にでも願うくらいなら、まず自分でやってみろ。」

「・・・」

「それでも無理なら・・・」



――― こんな事、コイツに言う事になろうとは・・・神でも思わなかったろうな。



「俺が手を貸してやる。」

「・・・さん、ぞう?」

「てめぇの願いは、俺が叶えてやるよ。」

そう呟くと俺は、驚いたように目を見開いているの顔をチラリと眺めてから再び視線を新聞へと戻した。







七夕だからって見ず知らずの織姫や彦星の事なんざ考えず、俺の事だけ考えてろ。
そうすりゃてめぇの願いのひとつくらい ――― 叶えてやるよ。





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七夕雨バージョンです。
珍しく動いてくれたと思ったら・・・三蔵様が七夕で一番甘くなってしまった(苦笑)
最初は悟空も三蔵と一緒に登場させるつもりでした、が・・・上手くいかなかったので却下(酷っ)
という訳で、雨が降れば三蔵様が貴女の願いを叶えてくれるそうです(笑)
よっぽどの事じゃなければ叶えてくれるでしょ(本当か!?)

眠れなくてゴロゴロしてた時に思いついた割には、面白い事になったなぁと思ってます。
さて、皆様の地域の七夕の天気は・・・如何でしたか?