朝焼けの中、不機嫌な顔をした男といつもと変わらぬ笑顔を貼り付けた男が、ジープの上で静かに語り合っていた。
「・・・どうして悟浄をつれてきた。」
目的の寺まであと少しという所で、急遽ジープは立ち往生。
「最初に悟浄に声を掛けたのは貴方じゃないですか。」
「お前もほぼ同時だったろうが。」
車内に冷たい空気が広がっていく。
先ほどからジープがやけにくしゃみを繰り返しているのがいい証拠だろう。
「・・・ったく、何でこんな時に・・・」
「そうは言っても来てしまったものはしょうがないじゃないですか。」
「やっぱりコイツは置いてくるんだったな。」
ジープの後部座席ではぐっすり眠り込んでいる悟空と、なにやら幸せそうに笑いながら頬を緩ませて眠っている悟浄。
「それじゃぁ言わせてもらいますけど、三蔵は悟浄を家に残して僕らが戻るまで2人きりにした方が良かったと言うんですか?」
「そうは言ってねぇだろう!」
「じゃぁどういう意味なんです!」
「ん〜・・・」
八戒と三蔵が声のボリュームを少し上げた時、後部座席から小さな声が聞こえた。
その声に誘われるように二人がチラリと後ろを振り返ると、その視線の先には悟浄と悟空の間に挟まれて眠っている一人の少女の姿があった。
むにゃむにゃと何か呟いてから寝返りをうって悟浄の胸に顔を埋めるように眠っている少女の顔は、何も知らないせいかやけに幸せそうに見えた。
起きている二人は何故か同時にため息をつくと再び視線を前に戻した。
「は向こうの世界で眠ると悟浄の前に現れてしまう・・・急いでいたとは言えこの事を失念しているなんて・・・迂闊でした。」
「・・・そうだな。」
目的のお寺まであと少しという所で、突然ジープが思い切り揺れた。
まるで何か大きな荷物が突然車に投げ込まれたかのような衝撃の後、悟浄がやけに乾いた笑いを響かせながら前の二人に声を掛けた。
面倒臭そうに振り返った二人の目に、悟浄の腕の中でぐっすり眠っているの姿が飛び込んできた。
一旦ジープを止めたが、目的地まではあと10キロ程度と言う所迄来てしまった。取り敢えずこのまま目的地まで行く事が決定し、眠っているをわざわざ起こす事も無いだろうという事で悟浄と悟空の間に座らせた。
可哀想なのはその後の悟浄である。
再び眠りについた悟浄がジープの振動での方へ倒れこむたびに三蔵からハリセンが振り下ろされ、八戒には急ブレーキをかけられて前の座席に頭をぶつけたりと覚えの無い出来事にまさに踏んだり蹴ったり。
ちなみに悟浄がこれだけ色々やられている間、悟空はの肩に頭を置いて気持ち良さそうに休み、は悟空の頭にもたれるようにしてぐっすり眠っていた。
これは日頃の行いの所為なのか、それとも相手が悟空だから許されているのかは今の所謎である。
「かと言って今から家に戻っても結局同じ事ですよね。」
今から家に戻って大急ぎで彼らが寺へ向かっても、が現代で眠ってしまえば再び悟浄の元へやってきてしまう。
「ちっ・・・仕方ねぇ。」
そう言うと三蔵は一人ジープを降りて寺へ向かって歩き始めた。
「三蔵?」
「俺が用事を済ませてくるまでお前らはここで待ってろ。ぞろぞろついて来られても邪魔なだけだ。」
「・・・それはに何かあると大変だ、と言う意味ですか?」
「馬鹿な事言ってんじゃねぇ・・・」
ふんっと言いながら歩いていく三蔵の足はいつもより速い。
普通に歩けば徒歩10分はかかりそうな距離がものの5分ほどでつきそうな速さだ。
どうやら八戒の言った事はあながち外れてはいないらしい。
軽く三蔵に向けて手を振るが、勿論それが返って来る事は無い。
八戒は後ろを振り向いて今だぐっすり眠っている少女の顔をじっと見つめた。
「・・・気持ち良さそうに眠ってますね。」
そっと悟浄の体からの体をずらして、二人の間にすっぽりはまるように移動させる。
やがて日が昇り、朝が来た。
まず最初に悟浄が目覚め、その悟浄にイタズラされてようやく悟空が起きた。
しかし・・・そんな騒ぎの間もだけはその目を開ける事は無かった。
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大した事無いけど、『雨夜の月○.5』って感じでおまけを書いて見ました。
本当はあちこちにオマケをつけたいんですが、流石にそこまでネタが浮かばず・・・取り敢えず扉をつけてみました。
オマケの探し方は・・・まぁここを見つけられた人には問題ないと思いますが、扉を開けて下さい。
そうすれば何かしらのオマケが出てくるはずですv
今回は移動の最中に悟浄の前にやってきてしまったヒロインをどうしようか・・・と考える三蔵と八戒の話(別名:日頃の行いが物を言う、哀れな悟浄(笑))
これから起きる事件も何も知らずに平和に眠っていますね。
この辺から既に八戒寄りになっているのが私らしい(苦笑)