少し遅めの夕食後、チャンが珍しくオレの腕を力強く引っ張りながら外を指差した。
「ねぇねぇ、悟浄!月光浴しに行こう!」
「は?」
チャンが突拍子もない事を言い出すのはいつものコトだし?
別段驚きもしない・・・けど、ナンで今更お空にポッカリ浮かんでる月なんざ見なきゃなンねェの?
「あンで!?」
素朴な疑問を口にすれば、返ってきたのはひどく簡単な答え。
「お月様が綺麗だから!」
「・・・」
開いた口が塞がらないっつーのはこういうコトか。
くっと口元を緩め、声を上げて笑い出す。
「ご、悟浄?」
「いや、・・・ワリィ。」
笑われた事に気分を害したのか、頬を膨らませているチャンの頭をポンポンと撫でると、ソファーに放り投げてあった上着を手に取った。
「お供しますよ、お姫サマ?」
「・・・お姫様じゃないよ。」
「いんや。オレにとってはお姫サマだって♪」
ウィンクと共に軽いノリでそう言えば、チャンが花咲くように微笑んだ。
「じゃぁ悟浄は王子様?」
「・・・いいねェ、それ。」
「悟浄が王子様だと・・・八戒は?」
「あれは・・・」
今、ここにいないのは分かってっけど・・・なんっつーか下手な事口にすると、背筋が寒くなるんだよなぁ。
「・・・あれもチャンを守る王子でねェ?」
「うわっ両手に花!?」
「そー言うコト。ンで?外、行くの?行かねェの?」
話がずれてきたので当初の目的を思い出させてやる。
「行く!」
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