「い〜天気ですねぇ。」
「そうだねぇ・・・」
「だな。」
全員で家の庭にシートを引いてゴロリと寝転がり空を見上げる。
ついこの間までこんな事したら暑さで日射病になるか真っ黒に焼けちゃう所だったけど、今は風がちょっと冷たくて日差しが温かい・・・ちょうどいい気候になった。
だから最近、天気のいい日は3時のお茶をこうして庭でのんびり過ごすのが日課になってきている。
もともと昼寝とか日向ぼっことかが好きなあたしとしては、二人に挟まれてこうして空を見上げているだけでも十分楽しい。
しかも今日は今までにない程、真っ青な空が広がっていて凄くいい気分!
そんな風にごろごろしながら空を見上げていたあたしの前に、急にぷかぷかと白い物が流れてきた。
「ごーじょーう?」
「一本だけ、な?」
「お庭でお茶の時は禁煙って言ったでしょ!?」
ムクリと起き上がって悟浄が銜えていたタバコを取ろうと手を伸ばす。
「だってよ、さすがにこう連日空ばっか見てっとヒマなんだって!」
「悟浄はヒマでもあたしは楽しいの!」
「僕もと一緒で楽しいですよ。」
「ほら、八戒もそう言ってる。」
強い味方をつけたと思い、未だ寝転がって空を見上げている八戒を指差す。
ちなみにその隣ではジープが気持ちよさそうにお昼寝中である。
「一本くらいいいじゃん、今だけ♪」
「だーめ。」
「チャンっ!」
「ダメッたらダメ!折角の青空に雲を増やさないで下さい!!」
「「はい?」」
あたしが言った事に返って来た疑問の声は二つ。
気付けば寝転がっていた八戒も上半身を起こして不思議そうにあたしを見ている。
「ナニ?雲を・・・」
「増やす、ですか?」
「・・・」
そんなに不思議そうな顔しなくてもいいじゃん。
かと言ってこのままこの会話をなかったようにする訳にもいかず、あたしは悟浄の隣に回りこんで火のついたタバコを貸してくれるように頼んだ。
最初は首を傾げていた悟浄も取り敢えず銜えていたタバコを渡してくれたので、次にあたしは二人に最初と同じように寝転がるよう言った。
「なぁ、コレで何が分かるんだ?」
「いいから、暫くそのまま空見ててね。」
持っていたタバコを風に当てる事によって、人が吸うよりは弱いけどその火が僅かに赤くなり細い煙が二人の方へ流れ出した。
「んなコト言ったって・・・青い空しかねェじゃん。」
ブツブツ呟く悟浄とは対照的に、八戒は目を細めると小さく頷いた。
「あぁ・・・なるほど、そういう事ですか。」
「へ?」
「あ、八戒は分かった?」
気付いてくれたのが嬉しくて八戒の方を向けば、上半身を起こしてにっこり微笑んでくれた。
「えぇ分かりました。ほら悟浄、の言うとおりちゃんと空を見て下さい。」
「だから見てるじゃねェか・・・って、あぁ〜・・・ナルホド。」
風上でつけられたタバコの火は、少し強めの風に煽られて煙を風下に流す。
するとそれは風下で寝転んで空を見ている人間にとっては、青空に白い煙をまくという事で・・・。
「確かに、悟浄は雲を生み出してますね。」
「・・・リョーカイ、謹んで禁煙させて頂きます。」
「うん!!」
二人があたしの言ってくれた事が分かったのが嬉しくて、笑顔で大きく頷いた。
そのタバコを空き缶に入れて消そうとしたのを八戒は見逃さず、すかさず携帯灰皿を悟浄に差し出していた。
八戒って、いつも携帯灰皿持ってるのかな?
まぁ携帯ってくらいだから持ち歩くのが当たり前なんだけど・・・。