「ユキのは何味?」
「僕は抹茶です」
「ひとくち食べてもいい?」
「えぇ、どうぞ」
にっこり笑顔で差し出してくれたユキのアイスをぺろりと舐めると、僅かに眉間に皺を寄せる。
「…あの、お口に合いませんでしたか?」
「あ、違うの…その、大人味というか…」
「大人味、ですか」
「よければ俺にもひとくち貰えないか、八木沢」
「えぇ、どうぞ」
すると、今度は如月くんがユキのアイスをひとくち食べて小さく頷いた。
「なるほど、この手のアイスにしては抹茶の味がしっかりしているな」
「えぇ、そうなんです。お茶の香りと渋みが……あぁ、なるほど。さんが食べるには少々甘みが足りない、ということですか」
「お前なら、こっちの方が好きなんじゃないか」
「如月くんのは何味?」
「俺のは…チョコだな」
「あ、それも食べてみたい。いただきまーす」
躊躇う事無く、今度はひとくち齧らせて貰おうと、ぱくりと口にくわえる。
すると、どこからか水を吹きだすような音が聞こえて、思わずそのまま視線を動かした。
「げほっ、ぶほっ…」
「大丈夫か、響也」
「あぁ、大丈夫ですか?今、布巾を…」
「…っつーか、な、…げほっ…なにしてんだよ!あんたら!!」
ユキに渡された布巾で床を拭きながら、顔を真っ赤にした響也くんにいわれ、思わず3人で顔を合わせる。
「えっと、千秋が買ってくれた差し入れのアイスキャンディーを彼女に勧められて…」
「食べていたところ、が味見をしたいというのでわけてやっていたところだ」
「うん」
「味見させてる光景がおかしいってことに気付けよっ!」
拭いたばかりの布巾をぎゅっと響也くんが握り締めたせいか、折角ふき取った水分が再び床へと零れた。
「響也、ちゃんと拭け」
「わーってるよ!」
「ごめんね、如月くん。チョコ、少し大目に齧っちゃった」
「構わない。これぐらいの量で、俺にはちょうどいい」
「チョコも美味しいね」
「八木沢もひとくちどうだ」
「では、遠慮なく頂きます」
響也くんが再び床を拭いている間も、アイス交換は続いていた。
拭きながら何か彼がぼそぼそ呟いていたけど、あいにくとその声は庭の蝉の声にかき消されて、あたしたちの耳に届くことはなかった。
「…………動揺してるオレが馬鹿みたいじゃねぇか」
30.エロいことばっか浮かぶ…の別バージョン?
甘酸っぱい青春=若いねぇ〜ってことで(笑)
響也の反応は正しいと思う。
わざわざ神南とは対極っぽい人を集めたらそうなっただけだ!
律中心に(どきっぱり)
2010/07/23