「悟浄、あーん」

「ん?」

突然目の前に現れ、口を開けるよう促される。

「どったの、チャン?突然」

「ほら、今日バレンタインでしょう?だから、チョコレート!」

「あぁ、そっか」

「今なら皆いないから、ほら、早く早く!」

確かに、サルがいた日にゃゆっくり味わって食うなんて出来ねェな。

「リョーカイ」

「うん!」



ケド、ただ、そのまま食うんじゃ…他のヤツと同じだろ?



にこにこ笑顔でチョコを差し出したチャンの手首を掴んで、指ごとチョコを口に含んだ。

「ごっっ!?」

「…ん?」

「ごじょーに食べられたーーーーーっっ!!」

一気に顔を赤らめた彼女を見て、思わず抑えていた手首の力が緩む。

「食ってねェって…」

「八戒〜っ!悟浄がっ、悟浄がーっ!!

それと同時に、あっという間に手を引っ込めて踵を返して彼女が走り出す。
ペロリと口元を舌で舐めながら、あぁ後で半殺しの目にあうだろうな…と、思いつつも束の間の幸せに浸る。



今年のバレンタインのプレゼントは…
甘いチョコと…
それ以上に甘い、愛しいオンナの可愛い表情





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ちょっとした行動に出ることで、色んなものが動くと思うのです。
だから、ただ食べるだけじゃなく、指もいっしょに…ってのが、悟浄らしいと思うんだ(笑)
これも昔の話をサルベージ。
2010/09/28