ふわりと身体が浮き上がったかと思うと、一瞬のうちに目下に広がる広大な大地。

「きぃやぁああああ〜っ!!」

しっかり抱きかかえられているし、安全といえば安全なんだろうけれど…

「サザキ!こ、怖いっっ!!」

「おやおや、こちらの姫さんは高所恐怖症ときたか」

返事をするためにお腹に力を入れようとしても、恐怖のあまりに声がでない。
必死でしがみつこうとしても、その手にすら力が入らない。

「〜〜〜〜っ!」

「はははっ、は随分と怖がりだな」

楽しそうに笑うサザキが宥めるように頭を撫でてくれてるけれど、そう簡単に身体の震えは止まらない。





暫くそのまま飛び続けたかと思うと、頬をなでていた風が僅かに緩やかなものとなった。

「な、目を開けてみろよ」

「……」

「だーいじょうぶだって、オレがしーっかり掴んでるから」



なんでそんな事言うんだろう…



怖くて怖くて泣きそうになりながら、目を開けられずにいると、サザキの優しい声が風の合間に届いた。

「オレを信じろって」

その声に導かれるよう、ゆっくり…本当にゆっくり目を開けると、目の前に大きな夕日があった。

「うわぁ……」

「山間に沈む夕日ってのもオツだけど、こうして空から見るってのもまたいいだろう?」

「こんなに綺麗な夕日見たの…はじめて」

ばっさばっさとサザキの羽が動いていて、身体も僅かに揺れているはずだけれど…今までのような恐怖は感じない。

「ま、一番いいのは海に沈む夕日ってヤツなんだけど、それはまたの機会にな」

「え?」

「やっぱ、あれだろ。船がなきゃカッコつかないからな」

「…サザキ」

「いつか、船を取り戻したら、最初にあんたを乗せてやるよ」

「…うん」

「それまでは、こうして空の旅を楽しませてあげましょ♪もう慣れたろう?」

にっこりそう言われて、目の前の夕日から意識が現状に戻ってくる。

「き、きぃやぁぁぁ〜〜」

「はははっ、まーだダメだったか。けど、姫さんが抱きついてくれるなら、これはこれでヨシ」

「よ、よくない〜っ!!」

「さて、お次はどこへ参りましょうか?」

「地面っ!地面へお願いしますっ!」

「そりゃダメだ。戻ったら、またカリガネが煩い」

「サザキ〜〜っ!」

「もう少し、夕日を見ながら愛の逃避行ってのを楽しもうぜ?」



日が暮れてからカリガネの元へ戻ると…サザキの食事の用意だけが、されていなかった。





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確かこれ、ゲームをやる前に書いたんですよね。
あの手羽先…じゃなくて、羽のふわふわっぷりと、ちいちのサザキがとても楽しくて(笑)
サザキに抱っこして貰って飛びたいけど、私も高所恐怖症だから辛いなぁ(苦笑)
そういえば、未だに遙か4やってないな。
那岐と遠夜やって、そのままだ。
時間が思いっきりないと、出来ないよなぁ…(苦笑)
サザキとアシュをクリアする…ぐらい、は頑張りたい。