「おはようございます、殿。」

「・・・おはようございます、頼久さん。」

「・・・具合でも悪いのですか?」

「いいえ、ただ昨日の自分の間抜けさを悔いてるだけです。」

あかねちゃんの部屋に集ってしんと静まり返った中、緊張の面持ちでいたあたしに藤姫がひと言お願いします・・・と言った。
だから、皆にずっと言えなかった名前を言う事にした。

大きく息を吸って
です!不束者ですが、宜しくお願いしますっ!」と言い終わると同時に・・・皆が思い思いに笑い出した。



――― 今思い出しても恥ずかしい



「申し訳ありません。既にご存知かと思っておりまして・・・」

「・・・頼久さんも言ってくれれば良かったのに。」

「は・・・申し訳ありません。」

「あっ、そ、そんな頭下げないで下さいっ!!あたしの考えが浅かったから・・・」

良く考えてみたらあのしっかりした藤姫があたしの名前すら教えずに部屋に通すなんて事ありえない。

「あぁー、あたしの馬鹿ぁ〜」

「そのような事はございません。」

「頼久さん?」

「・・・差し出がましい事かもしれませんが、私はあなたが神子殿の側にいて下さる事を嬉しく思います。」

「?」

「神子殿は誰よりも尊き方。そのような方の側に殿のような純真な想いを抱く方がいて下さる事は、神子殿の安らぎにもなりましょう。」

「・・・頼久さん。」

「私の主君は神子殿です。ですから、神子殿の為にもこの頼久、殿を全身全霊かけてお守りする事をここに誓います。」





こんな風に、全てを投げ打って守るって言われて喜ばない女の子はいないよね。

・・・例えそれが何かのついでであっても、その思いに応えられるだけ頑張るから、これからよろしくね、頼久さん!





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すいません、話の流れは全部同じなんです(苦笑)
取り敢えず最後に皆に名前を呼んで貰うってのが目標でしたから・・・。
本当なら一本の話に全員登場させるつもりだったんだけどねぇ。

最初にアップするのに、書いた順番は七番目という頼久さん。
えーっと彼は主従関係がまず脳裏に浮かぶので、最初はあまり親しく話す事が出来ないのです。
でも私的野望としてやりたい事があるので、どうしても仲良くなりたいんですっ(笑)
頼久さんは本当にまっすぐな人ですよねぇ。
個人的に天真と一緒に何かしてるの見るのが好きです。
・・・あぁ、稽古するという名のもと天真の憂さ晴らしの喧嘩(ちょっと違うな)に付き合ってくれる優しさが好きです。
でも素直に相手を褒めろと言われても、見たままの事しか言えない素直な彼も好きですね(笑)
藤姫の三つ編みを見て「・・・注連縄」って言っちゃった頼久が忘れられません(笑)