「失礼致します。」
「・・・おはようございます、永泉さん。」
「あの、もしや昨日の事をお気に病まれているのですか?」
「・・・はい。」
あかねちゃんの部屋に全員が揃い、その雰囲気に圧倒されているあたしに藤姫がひと言お願いします・・・と声をかけた。
だからずっと皆に言っていなかった名前を・・・告げた。
「です!不束者ですが、宜しくお願いしますっ!」って大きな声で。
そしたら皆が思い思いに・・・笑い出した。
――― 今思い出しても恥ずかしい
「貴女の苦悩も知らず、あのような態度をとってしまい・・・誠に申し訳ありません。」
「・・・最初に会った時、永泉さんだけでも名前呼んでくれれば良かったのに。」
「あ、あの時は・・・その、貴女にお会いするという事で私も緊張しておりましたので・・・」
「ですよねぇ・・・」
それに良く考えてみれば、あのしっかりした藤姫があたしの名前すら教えずに部屋に通すなんて事ありえないんだよ。
「あぁー、あたしの馬鹿ぁ〜」
「・・・そのような事を仰らないで下さい。」
「永泉さん?」
「貴女がはっきりとお名前を告げて下さった事、私はとても素晴らしい事だと思います。」
「・・・皆が知っている事でも?」
「はい。心で思っているだけでは相手に伝わりません。まして名を知って貰う・・・というのであれば、やはり他の人間より本人の口から聞く方が嬉しく思います。」
「・・・」
「私のような者より、他の方の方がお役に立てると思いますが、何かあればお声をかけて下さいね。微力ながら貴女のお力になりたいと思います。」
名前を言っただけで、こんな風に言って貰えるなんて思わなかった。
・・・これから頑張るから、どうぞよろしくね?永泉さん。
すいません、話の流れは全部同じなんです(苦笑)
取り敢えず最後に皆に名前を呼んで貰うってのが目標でしたから・・・。
本当なら一本の話に全員登場させるつもりだったんだけどねぇ。
天の玄武である永泉さんが・・・実は最後でした。
でも一番”らしい”話が書けた気がするんですよねぇ。
あんまり永泉さんを書かないので、どうかなぁと思うんだけど、この話は結構好きです。
短い中にあの繊細な空気?が漂っている気がしたんだけど・・・如何でしょう?