海から帰って来て一番最初に訪れるのは・・・の部屋だった。
「ただいま、姫君。」
「お帰りなさい、ヒノエ。」
そういって出迎えてくれる笑顔が、徐々に色付き始めたのはいつからだったかな?
やがてオレが熊野へ帰ったという知らせが届くと共に、姫君が部屋から庭先まで出迎えてくれるようになった。
「お帰りなさい、ヒノエ。」
「ただいま、姫君。」
懐かしい熊野の風と温かな姫君の笑顔に出迎えられるこの気持ちを・・・なんて言えばいいんだろうね。
更に時が経てば、船が港に着いたという知らせを聞いた姫君が・・・オレを出迎えてくれるようになった。
「ヒノエー!!」
ねぇ、。
オレだけに向けられるその笑顔が他のヤツラの目にどれだけ眩しく映っているか知ってるかい?
手にしていた荷を地面に落とし、笑顔で駆け寄ってくる姫君を抱きとめる為に両手を広げる。
躊躇う事なく飛び込んでくる華奢な身体を抱きとめ、そのまま抱きしめた。
「ただいま、姫君。」
「お帰りなさい!」
自然とオレの背中に彼女の手が回されたのに気付き、やばいと思いつつも口元が緩む。
もしかしてそろそろ・・・頃合なのかもしれないね。
そっと姫君の肩口に顔を埋めると、が擽ったそうに首を竦めた。
「ね、。」
「何?」
「・・・オレがいなくて寂しかった?」
驚いたように身体を跳ねさせるけれど、抱きしめる手を緩めたりはしない。
「姫君の素直な気持ち、聞かせてよ。」
顔を上げ、の髪を手に取りながら囁けば、顔を真っ赤に染めながらも小さく首を前に倒した。
喜びが、海風で冷えた心を温める。
「嬉しいね、オレもお前と同じ気持ちだよ。」
「・・・ホント?」
「のように可憐な花のない海は酷く寒くてね・・・毎日凍えてたよ。」
くすくす笑いながらもう一度姫君を抱きしめれば、違和感を感じたのか背に回していたの手がオレの背を叩きだした。
「じ、冗談でしょう?」
「あれ、本気なんだけど?」
「嘘っ!」
「ふふ、じゃぁどれだけ冷えていたかゆっくり教えてあげようか。」
「え・・・」
驚く声もあげさせないうちに、小さな身体をひょいと抱き上げて館に向けて歩き出す。
「おい、てめぇら!今日は館に近寄るんじゃねぇぞ!」
「え?」
オレの事をお前が想ってくれるのなら、もう遠慮はしないよ。
心を手に入れたら、次はその先が欲しくなるものだからね。
・・・ね、お前も同じ気持ちだろう?
お題のタイトルが凄いな(苦笑)
オトナなヒノエで10のお題って・・・うちのヒノエで書けるのかしら?
っていうか、寧ろ私が書けるのか!?
という訳で、私が書くのでオトナになりきれない話ばっかりだと思いますが、IN熊野では書けていないラブラブな話が書けるので、私は楽しいです(笑)
問題は危ない方向へ行かないよう、私 が ヒノエの手綱を必死で握り締めている事です。
あぁ、あとは何故か出て来そうな叔父上が何かやらかさないよう祈る事かな。←叔父上は手綱が握れないらしい(笑)