真っ白な肌に所々散りばめられた朱の花が、月夜の灯りで怪しく映し出される。

けれど、それ以上に可憐で美しい花を・・・この手に、抱いた。



最初はの事を気遣い、ゆっくり時間をかけたつもりだったけれど・・・気付けば理性の箍なんてあっという間に外れていた。
海の音も聞こえないほど、姫君の声に、汗に、匂いに・・・全ての感覚が狂わされ、溺れていった。

「・・・オレを溺れさせるなんて、凄い女だね。」

こんな風に相手に意識を奪われるように抱くのは初めてで、一瞬戸惑いを覚えた。
自分がどうなってしまうのか分からず、躊躇した瞬間・・・の微笑が目に入った。
痛みに堪えながらもオレを気遣うかのように額の汗を震える手で拭う姿を見て、胸に溢れる熱い思いを伝えたくて・・・無理な体勢だと分かっていながら口づけをした。

その後は・・・実はあまり覚えていない。



自分が快楽に溺れるだけでなく、相手を想っての交わりがこんなに心地よいものだとは思わなかった。

「誰かさんの言葉に同意したくないけど、まだまだオレはガキだったかもしれないね。」

脳裏に浮かぶ叔父の姿を振り払い、目の前で眠っている愛しい女の頬を撫でる。

「ふふ、可愛いね。」

つい先程まで伝説の美女ともいわれる衣通姫にも負けない色香を放っていたのに、目の前で眠る姿は・・・いつもと同じ、穢れなき天女の姿。

「目覚めたら・・・お前はどんな顔をするのかな。」



いつものように、微笑んでくれるのか
それとも、恥らうように背を向けるのか・・・




ふと自分が畳の上に横たわっていた事を思い出し、ぽつりと呟く。

「・・・せめて床の用意だけでもしないと姫君が辛いかな。」

まさかこんな事態になるとは思ってもいなかったので、人払いだけはしたが・・・あいにくここに布団はない。

「さて、どうしようかな。」

をこんな所にこんな格好でひとり残すなんて馬鹿な真似はしない。
いや、寧ろ今は・・・オレがお前から離れたくないしね。



それならば、出来る事はただひとつ。



脱ぎ捨てた衣を手に取り、簡単に身支度を整えると、を起こさないよう衣に袖を通させた。
そしてそのまま抱き上げると、ゆっくり自室へと歩き出す。

月の光が抱いている姫君の身体を照らし、僅かに霞がかかったようにオレの目に映った瞬間、自然と抱いていた手に力が入る。

「・・・天になんて、帰さない。」



この手に残る熱

この胸に宿る熱い想い・・・






約束するよ
お前を、どんな物語の姫君よりも幸せにする・・・と





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あ〜あ・・・ついに食べちゃった(おいっ)
あ、違った、ここは「おめでとうヒノエ!」という所だった、かな?(笑)
それなのに何故叔父さんが出てきちゃうんでしょうねぇ(苦笑)
多分、ヒロインに出会う前に女性の話で彼に言われたんですよ。
「ヒノエはまだまだ子供ですね。」
「はぁ?寺に入ってからオレがどれだけ女を相手にしてきたか知らないくせによく言うよ。」
「・・・そんな風に女性を数えている時点で、まだまだ子供なんですよ。」
って、感じでね。あー、弁慶大人だ・・・
やる事は大人じゃないけど(小声)
次が最後ですよ〜、怪しくないですよ〜・・・うん、多分?(笑)