僕の言葉に、彼女が声を無くした。
こんな風に真っ青になった顔を、今まで見た事があっただろうか?
・・・あぁ、過去に一度だけあったかな。
ヒノエが無茶をして、大怪我をした時だ。
あの時、彼女はこんな風に真っ青な顔で立ち尽くしたかと思うと、
すぐに自分の頬を叩いて無理矢理意識を戻し・・・ヒノエの看護についたのだ。
そしてヒノエを死の淵から・・・蘇らせた。
けれど今、彼女の意識を取り戻させる為の両の手は僕が封じている。
彼女が出来る事は、ただ僕を見つめるか・・・目をそらすだけだ。
「・・・君を、愛しています。」
「う・・・そ・・・」
「嘘ではありません。」
「・・・」
「愛しています。」
「・・・」
真っ青な顔で、小さく首を横に振って現実から逃れようとする。
「・・・君が好きです。」
「っ・・・」
「誰よりも、愛しています。」
「・・・っっ!!」
僕が愛を語れば語るほど、首を振る動きは大きくなる。
やがてそれに、小さな雫が加わった。
大きな瞳がきつく結ばれ、目じりからは次から次へと涙が零れている。
僕の想いを知らなければ、君はいつまでも純粋で、真っ白で、いられたでしょうね。
けれど、僕の想いを知ってしまったら・・・君は、どうなるかな。
そんな事を考えながら、指を絡めた右手を自らの口元へ引き寄せる。
僕の右手に絡められた彼女の左手の薬指には、彼女の世界の習わしに従い・・・立派な珊瑚の指輪がはめられている。
それを見つめながら、左手の薬指に唇を乗せる。
「・・・愛しています。心から・・・」
「や・・・」
ついに足に力が入らなくなったのか、それとも現実を拒絶し始めたのか・・・
両の手だけを伸ばしたまま、その場に座り込んでしまった。
「べんけ・・・」
「・・・」
「ど・・・して・・・」
愛しい人が、僕の言葉に胸を痛める。
ヒノエへの想いに、僕への想いが沁み込んで・・・
純白の想いに、一滴の黒い染みが広がる。
あの人がこんな風に、愛を囁いてくれるなんて幸せだ〜・・・
・・・と、思う貴女は多分病んでいます(私は病んでますからご安心を?)
この話は、ちょっと好きなシーンがあったりします。
指を絡めて手を繋いでいて、ヒノエが贈った指輪に弁慶がキスをする所と、最後のモノローグ?
純白の想いに、弁慶が伝えてしまった「愛してる」が染みを作るんです。
赤、じゃないんだよ・・・だって、一応ヒロインはヒノエが好きだから。
そしてここから苦悩が始まる・・・頑張れ、そして着いて来て下さいませっっ(汗)