眠るさんの髪を撫でながら、その寝顔を見つめる。
少し頬が染まっているのは、温もりのせいではなく…飲み慣れない酒のせい。

「全く…あの程度で酔ってしまうなんて…」



少しだけ…



そう言っていたけれど、ひと口、ふた口と飲み進めるうちに変化していく君の姿は、まるではじめて紐解く書物のようで…望むままに酒を与えてしまった。

「薬師失格ですね」

苦笑しつつ、髪を撫でていた手を彼女の頬へ移す。

「ん…」

外気で冷えた手が頬に触れたせいか、僅かに身じろいだが起きる気配はない。
逆に熱のある頬に冷えた手が心地よいのか、先程より笑みを深くしているようにも見える。

「…いけない人ですね、君は…」

頬から唇へと手を滑らせ、薄く開いた唇に指先を乗せる。

「僕をこれ以上酔わせて…どうするつもりですか…?」



今でも充分…君に、酔っているというのに…



そんな想いを飲み込んで、唇に乗せた指先を自分の唇へと触れさせる。
微かに香る酒の香りは、今まで飲んだどんな酒よりも…甘く香る。

「…一度、溺れてみたいものですね」



出来るはずがない…

けれど、願ってしまう
何も考えず…ただ、目の前のさんの事だけを考えたい…と




瞳を細め、僅かに唇を噛み締めた瞬間…目の前の彼女の唇が微かに動いた。
音にならない声が、何かを告げているように思えて耳を近づければ…今度はきちんと、耳に届いた。



――― 弁慶…大好き…



「……参りました」





どんな酒を飲んでも、これほどまで酔える酒はない
僕を酔わせるのは…君という、存在だけ

溺れてしまったのなら…
今だけ…今、だけでもいい…
とことん、溺れてみましょうか

愛しい君…という、存在に





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2009web拍手、名前変換入れて手を加えて再録。
過去の自分に言うのは馬鹿かもしれないんですが、甘い話書いてるなチクショウ(笑)
なんだか上手く書けない今現在の自分からしたら、超ジレンマ?というか嫉妬?(苦笑)
お久し振りの弁慶ですが、イベントで生弁慶にお会いした日のテンションは凄いです。
やっぱ好きなんですよ…特に弁慶やってる時の宮田ッチの目とかたまらなく好き。
あの、真っ黒さ加減が!!
…あれ?なんか話ずれた、かな?(苦笑)
弁慶に溺れて貰えるなら本望です…いや、マジで。