館を抜け出し、姫君を馬に乗せて向かった先は・・・誰も知らない、オレだけが知っている秘密の隠れ家。
誰も連れてくる気なんてなかったのに、不思議だね。
お前にはここを教えたいって気になったんだよ。



「ふふ、良く眠ってる・・・」

オレの膝に頭を乗せて気持ちよさそうに眠る姫君の髪をそっと手に取る。
艶やかな絹のような手触りの黒髪は見慣れていたけれど、のようにふわりとした柔らかな髪に触れたのは初めてだ。

「柔らかな綿のような手触りだね。」

今まで触れた事のない感覚に自然と手が伸び、髪を梳く。

「・・・残念。ここに櫛をがあれば姫君の髪を整えられたのに。」

オレが女の身だしなみを整えたいなんて思ったのは初めてだ。

は、まるで海底に眠る宝箱みたいだね。」

自分でも想像できなかった自分が、お前と一緒にいるとどんどん胸の内から溢れてくる。



――― このままいけば、オレはどうなる?



「ん〜・・・」

「・・・ま、それは可愛い姫君を前に考える事じゃないね。」





さぁ、目覚めたら二人きりで散歩に出掛けようか。
ここで見る月も・・・案外綺麗なんだぜ?





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ヒロインは望美と違ってちょっとクセッ毛で、毛先がふわりとしてます。
だから常々望美のストレートな髪を綺麗だと言って羨ましがり、望美はパーマを当てたようなヒロインの柔らかな髪が羨ましいと言ってたりします。
はい、本編に関係ない女の子同士の裏話です(笑)
絹のような手触りとはよく言うけど、柔らかな髪をなんと言い表そうかと考えに考えて出てきた私の表現は・・・綿(苦笑)
語彙力なくてほんっとスミマセンっ(笑)
だってふわふわ柔らかくて、あの当時ありそうな柔らかそうな物って綿くらいしか浮かばなかったんだもんっ(言い訳)
ヒノエだったらもっと綺麗でいい物を比喩に持ってきたんだろうケド、書いてるのが私だからゴメンネ?
えーっと、そういう訳で(え?)ヒノエは隠れ家を持ってるみたいです。