「さん?」
「あ、べ・・・弁慶!」
「どうしたんですか、こんな所で。」
「・・・えっと、ちょっと目にゴミが入っちゃって。」
――― 頬に残る涙の跡、赤くなった・・・瞳
「取れましたか?」
「はい。」
「・・・そうですか。」
君は、決して弱音を口にしないんですね。
見知らぬ世界にただ1人存在しているのに、その胸の内を明かそうとはしない。
「弁慶はどうしてここに?」
――― 君の姿が・・・いいえ、心の叫びが聞こえたから・・・
「・・・酔い醒ましに外の空気が吸いたくなったんです。」
「ヒノエと湛快さんはまだ飲んでるんですか?」
「えぇ、二人とも酒豪ですからね。」
「・・・大丈夫なんでしょうか。」
――― その言葉、そのまま君にお返しますよ・・・さん
けれどそんな事を口にしてしまったら、僅かに開きかけた心の扉が硬く閉ざされてしまう。
今はまだ、君の心に声をかける時ではない。
「大丈夫ですよ。酒に飲まれてしまうような柔な身体ではありませんから。」
「弁慶がそういうなら大丈夫かな。」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
「でも心配だからそろそろあたしも戻ろうかな。」
そう言ってニコリと微笑む姿が何処か寂しげで、館へ戻ろうとした彼女の手を思わず掴んでしまった。
「弁慶?」
「・・・すみません、僕が酔ってしまったみたいです。」
「え?だ、大丈夫!?」
「申し訳ありませんが、少しだけ側にいて頂けますか?」
「うん。」
今の寂しげな心を抱えた君を、あの喧騒の中に戻すわけにはいかない。
「お水か何かいりますか?」
「いいえ、暫く肩を借りられれば落ち着きますから・・・」
微かに笑みを浮かべながら、小さな肩にそっと頭を乗せる。
出来る事なら悲しみや不安をひとりで抱え込まず、僕に明かして欲しい。
僕にだけは、弱音を吐いても・・・構わない。
――― 君に僕を、求めて貰いたい
こんな弁慶、大好きです!!(笑)
弱っている事にさり気なく気づいて、さり気なく気遣いを見せてくれる弁慶。
それを言葉に表す事無く、相手を労わっている・・・ように見せかけて手の平で転がす男(笑)
あれぇ?おっかしいなぁ、この話書いてる時はそんな事少しも思ってなかったのに(苦笑)
何故かコメント書いている時に「・・・黒い?」と思ってしまいました。
ちなみにヒノエもヒロインの様子がオカシイのに気付きましたが、水軍の宴会なので頭領としては容易に席をはずせないのです。
(皆がヒノエ@頭領大好きなので、次から次へと酒を注ぎに来る(笑))
だから、おいしい所を弁慶が持ってっちゃったんですね♪
特にお題を交互に書くつもりはなかったのに、この辺から嫌な空気が流れ始めました(笑)