――― 許される事のない・・・過ち
この身に背負った咎が、許される日が来るなんて思わない。
いえ、寧ろ許されない事が・・・僕の背負うべき罪。
当たり前のように心に刻まれている事を思い出すなんて、どうしたのだろう。
重い瞼をゆっくり開けると、ぼやけた視界の中から・・・さんの姿が浮かんできた。
「・・・弁慶。」
「・・・さん?」
「良かった、気がついて。」
「僕・・・は・・・」
擦れる声と喉の違和感に気付き、ゆっくり身体を起こそうとすると小さな手が肩に触れた。
「無理に起きないで・・・熱があるんです。」
日中、身体に僅かな違和感を感じましたが、まさか熱を患っていたなんて・・・薬師失格ですね。
「今日はあたしが付き添いますから、ゆっくり休んで下さい。」
「ですが・・・」
「あ、ヒノエの事ですか?大丈夫、湛快さんがヒノエを説得してくれましたから!」
――― 強制的に貸しを作られました、か
さんに心配かけないよう笑みを作ろうとしたが、予想以上に高熱を伴う身体は自由が利かず、彼女に示されるまま床へ横たえた。
「・・・」
「何か欲しい物とかありますか?」
今の僕に望む物なんてありません。
僕の望みは、ただ京の平安を取り戻す事・・・それだけです。
それ以外の望みなんて、抱いてはいけない。
何も望んでは・・・いけない。
胸を締め付ける自責の念から無意識に拳を握り締めた瞬間、僕の視界を覆うようにさんの手が翳された。
「どうし・・・」
「病気の時に色々な事を考えると、どんどん嫌な方向に行っちゃいますよ。」
「・・・」
「今は何も考えず、休みましょう。」
「・・・何も、考えず・・・に、ですか?」
「はい。」
――― 難しい相談ですね
そんな事をしたら、急の事態に備えられませんから・・・いくら君のお願いだとしても、聞く事は出来ません。
そう口にしようとした僕の思いを感じ取ったのか、次に彼女が口にしたのは・・・
「じゃぁあたしの声だけ聞いてて下さい。」
「君の・・・声?」
「はい。弁慶、前にあたしの世界に興味があるって言ってましたよね?だから、弁慶が眠るまであたしの世界の話をします。」
「・・・」
「元気になったら、あたしの話の中で興味のあった事教えて下さいね?」
この間僕が教えた熱さましの薬草と白湯を差し出しながら、にっこり微笑む姿を見ていると胸のつかえが・・・ゆっくり溶けていくのを感じた。
君の世界の話を聞きながら、おそらく初めて・・・何も考えず眠りにつく。
心地よい天女の柔らかな声音に包まれながら見る夢は、穏やかな京の町並み。
そして君と手を取って歩く・・・
珍しく白弁慶ですっ(笑)
弁慶が容易く風邪をひくとも思えませんが、まぁたまにはいいでしょう。
多分予想ついてると思いますが、最後の台詞と弁慶の脳裏に過ぎっている映像は遙か3の弁慶ENDです。
あれだと相手は望美になっちゃいますが、まぁそれはヒロインに置き換えるか、別の情景に置き換えるって事で♪
ちなみに弁慶の世話をしているヒロインのいない部屋では、親子の醜い争いが繰り広げられてます(笑)
何故、彼女を弁慶の側に置いてるのかと怒る湛増と、いつもお前の側にべったりじゃあいつに勝ち目がねぇだろうとヒノエの拳を笑顔で受け止めている湛快さん(笑)
あはははは、大好きだね★そんな親子!!
でも湛快さん、ひとつ間違えてます。
弁慶には、こちらが手を差し出さなくとも・・・勝ち目はありますから(小声)
寧ろ手を貸さなきゃならないのは、君の息子さんの方ですよ?なーんてねw
ま、私の愛が大きい方に動きますよ♪
・・・キャラ的には弁慶なんですが、ヒノエの背後には王子様がいるので僅差で争ってます(笑)