心はなくとも、愛する事は出来る。
愛が無くとも、身体を合わせる事は出来る。
幼い童のように心を躍らせるような恋をした経験など、僕には無い。
けれど、今のこの不思議な感覚は・・・一体なんでしょう?
「・・・弁慶?」
「あ、あぁすみません。」
「具合でも悪い?」
「いいえ、ちょっと見惚れてしまったんです。」
「分かります。」
そう言って微笑む君の姿を見るだけで、この胸に明かりが灯る。
何かに恋焦がれるような熱いものでもなく、身体を繋ぐ時のような一瞬の焦燥感でもない。
「一面の花畑って本当に綺麗ですよね。」
「・・・そうですね。でも、僕が見惚れていたのは花畑じゃないんです。」
「え?」
君の色んな表情を見るたびに、僕の心が躍る。
「一面に咲く花よりも、僕の側で微笑む君に見惚れていたんですよ・・・さん。」
「!!」
淡い色をした花が瞬時に色濃い花へと染まっていく。
ほら、ね・・・その変化が、とても愛しい。
微笑みながら戸惑うさんの手を取る。
「僕だけを見つめてくれる花というのはとても素敵なものですね。」
「べ、弁慶!?」
「さん・・・今ひと時だけ、僕だけを見てくれませんか?」
「え?」
「・・・お願いします。」
お願いされる事に弱い君の優しさにつけ込んでしまえば、困った顔をしながらも遠慮がちに僕を見つめてくれる。
「ありがとうございます。」
身体だけを愛するならば、手段など問う必要はない。
けれど、心も含めて相手を手に入れるのならば・・・これほど慎重に行動を要するものは無い。
まずは、君の心の中に僕の場所を作ります。
そして徐々に・・・君の心を僕で満たしていきましょう。
こんな恋愛方程式を心に抱いている人はどうでしょう?
好きだけど、ちょっと怖いかなぁ・・・(苦笑)
取り敢えず、弁慶は策を練った上で相手をはめる・・・げほっ・・・もとい、落とすんだって思った話です。
お題を見て、それを弁慶で書くとなったら自然とこうなっちゃったんですよ(苦笑)
おかしいなぁ、素直に口説いてくれるとか書きたい(はず)なのに。
コメント書くのが難しいのは何故でしょう?(笑)