「じゃぁ今日は僕と休みましょうか。」
「え、えぇ!?」
「おや?君はいつもヒノエと共に休んでいると聞きましたが・・・」
「あ、はい。確かにそうですけど・・・」
「じゃぁ問題ありませんね。」
笑みを浮かべ当たり前のように床へ入ると、些か緊張した面持ちで彼女も隣に横たわった。
「今夜は冷えますよ。もう少しこちらへいらして下さい。」
「で、でも・・・」
「別に君にどうこうするつもりはありません。ただヒノエが留守の間、君に風邪でもひかせてしまったら申し訳ありませんからね。」
――― まぁ風邪をひいたら僕が看病するから構いませんけど・・・
「ですから、そんな端じゃなくてもう少し真ん中へ寄って下さい。」
「・・・」
「・・・僕が信用出来ませんか?」
「そ、そんな事ありませんっ!!」
「じゃぁどうぞ、こちらへ。」
そう言って未だ遠慮している彼女の肩に手を置いて、少しばかり力を入れて自分の方へ抱き寄せる。
「寒くありませんか?」
「・・・っっ!」
「さん?」
「だ、だい・・・大丈夫!」
「ふふ、どうかしましたか?頬が赤くなっていますが・・・」
可愛らしいお嬢さんが頬を染める原因なんてひとつしかないのに、分かっていてわざと言葉にする。
するとあっという間に頬だけでなくさんの耳まで真っ赤に染まっていった。
「ヒノエの代わりに抱いていてあげますから、安心して休んで下さい。」
――― 別に彼の代わりになるつもりはありませんけどね
「・・・はい。」
でも今の君は、そう言えば安心するでしょう?
ヒノエはどんな事があっても、大切なあなたが嫌がるような事はしない。
それが分かっているから、わざと・・・ヒノエの代わりなんて言葉を口にする。
「おやすみなさい・・・弁慶。」
「おやすみなさい、さん。」
落ち着かせるように彼女の髪を撫でると、緊張していた彼女の身体から力が抜けていくのを感じた。
そして嬉しそうに目を細めて、きゅっと僕の襟元を掴んでくれる可愛らしい手を見た時・・・自然と口元が緩むのに気付いた。
――― 参ったな・・・
気付いた時には、君に魅惑されていたんです。
その笑みが、声が、身体が・・・君の全てを僕自身が欲していた。
誰にも見せたくない、触れさせたくない。
誰よりも先に僕が・・・君の全てを手に入れたい。
そんな醜い思いを抱いている僕に、こんな風に縋り付くなんて・・・
「・・・どこまでいけない人なんでしょうね、君は。」
「ん・・・」
「こんなに可愛らしい仕草を見せられて何もしないなんて・・・僕には考えられない。」
襟元を掴んでいた手をそっと外し、そのまま口元へ移動させると細い指先に口付けを落とす。
「可愛い人・・・いつか、僕のものになってくれますね。」
今はまだ、清らかな君にこれ以上の行為は望まない ――― 否、望めない
「さすがの僕も眠っている天女に悪戯するほどの度胸はないみたいです。」
皆さん、もう一度お題を見てください。
はい、お題は『手も足も出ない』でしたよね?
ごめんなさいっっ!弁慶が思いっきり手を出してます(笑)
で、でもね。弁慶的には出してないんですよ?
だって弁慶が手を出してたら、あっという間にヒロインはヒノエの前に戻れませんから(キッパリ)
↑私は何か弁慶を誤解してるんじゃないだろうか?(苦笑)
ちなみにこのお題に最も近い行為を行っていたのは私です(笑)
このお題だけで何回弁慶を書き直したことかっっ!!
数えられるだけで5回以上は書き直しましたね。
・・・どれもこれも弁慶が手を出すからいけないんですよ(苦笑)
ヒノエと一緒に寝るのも心臓に悪いけど、弁慶と一緒に寝る方が心臓に悪いのは私だけでしょうか?