コンクールが終わって…
聞こえるはずのない音が…
確かにあの日、おれの耳に届いて…
夢中で屋上へ駆け上がったあの日、から
おれは、君の一番近くにいてもいいんだよね。
コンクールの途中から、毎日、君と登下校したり、
「」って呼べるようになって。
もう、本当にめっちゃくちゃ嬉しかったけど、
どんどんおれの中で想いが強くなって
柚木や本人にも心配かけちゃったんだよなあ
あ〜…今思い出しても、おれって情けね〜
でも、今もそんな変わりないのかも…
ひょっとして、おれって全然成長していないのかなあ…
今日も、先生に『演奏に勢いが足りない』、とか叱られるし、
『最近様子がおかしいけど、どうかしたのかい?』って柚木にもまた心配かけちゃったんだよな。
おまけに…
「可愛い恋人と、うまくいってないのかい?…ふふっ、まさかね。」
なんて、言われちゃって…
うまくいってないわけじゃない、じゃないんだけど…
う〜っと唸るような感じでその場にしゃがみ込む。
ふいに、屋上のドアが開いた気配。
誰かと思って見てみたら…
今の今まで考えていた大事な、大好きな…彼女
「…」
思わず、声に出したら、やっぱ聞こえちゃうよね、おれ声でかいし。
「あ、和樹先輩!」
…そんなまぶしい笑顔でおれの名前呼ばないでよ…
思わず頭をがしがししていたら、
いつの間にかすぐ隣で、おれの顔をのぞき込んでいる…
「うっわ!…って、いて!!」
のけぞりすぎて、尻餅まで付いちゃった。
はぁ…ほんっとおれって…
「だ、大丈夫ですか!?和樹先輩」
急いで飛び起きて、
『大丈夫!』って言おうと思ったのに…
すぐ、目の前に、心配そうなの顔を見たおれが口にしたのは
「ね、キスしよっか…」
・・・・・・・・・・・・・
今、おれ、何言った!?
「え、ええと今の、今のは、ええとナシ!」
起きあがろうとしたのに、もう一度すっころんだけど、痛みより何より、心臓が飛び出ちゃいそうだよ。
「ナシっていうか、そう思ってるのは本当だけど、っていや、でも、あの…」
ますます、おかしなことばっかり言っちゃってるよ、おれ!
呆れてる?怒ってる?
…もしかして、嫌われたりなんてしたら…
そう思いながら、おそるおそるの顔をそっと見る。
俯いているから、顔がよく見えない。
「あ、あの…おこ…った?」
俯いたまま、首を横に振る。
「んじゃ、ええと呆れてる?それとも…おれ…へ、変なこと言ったから嫌われちゃったり…とかする?」
また、首が横に振られて、嫌われてないってことに、ちょっとだけ、ホッとする。
「ええと…あの、…?」
近づいて、ちょっと顔をのぞき込んだら…おれに負けないほど真っ赤で。
それがすっごく可愛くて、思わず抱きしめる。
「か、和樹せんぱ…!」
「急にごめん!でも、おれ、ほんっとうにのこと、大好きだよ!」
ぎゅっと抱きしめる腕に、つい力が入っちゃう。
少しでも、おれの気持ち、伝わるといいな。
そのとき、そっと、おれの背中にの手が回って
「あたしも…大好き、ですよ…」
耳元に優しい声。
「ねえ…もっかい、さっきの台詞言ったら…は頷いて…くれる?」
おれの背中にまわった手に、力が入ったのが…返事って思っていい?
「ね、キスしよっか…」
そっと手をゆるめて、今度はちゃんと、気持ちを込めて。
おれ、すごく赤い顔して、みっともないかもしれないけど、ちゃんと顔を見て、伝えたい。
でも、ちゃんとの顔見ていたから、その赤い顔がわずかに頷いてくれたのも、わかったよ。
そっと、その赤い頬に手を添えて…
さっきから胸のどきどきがうるさいくらいに聞こえる。
でも今のおれには、その胸の音も、君の髪を揺らす風も…
とても素敵な音楽に聴こえてくるよ…
その音楽に合わせるように…
おれは、そっと、彼女の顔に、自分の顔を近づけた。
【ホームワークが終わらない】にご参加下さりありがとうございました!
犀さん、可愛い火原先輩をありがとうございましたーっ♪
いやぁ…本当に火原先輩は癒される…
火原先輩といえば、犬(おい)
嬉しいと尻尾をばたばた振って、寂しいと耳と尻尾が項垂れる。
喜怒哀楽がホント分かりやすくて、等身大の高校生………あー、うん、高校生、です、よね。
中学生なんて思ってません!えぇ、思っていませんともっ!!
そんな彼がこうやって恋で悩んで、成長していく姿を目に出来て本当に嬉しいですっ!
でも先輩なら、口から本当に心臓だしそうだし、しかもその後慌てて心臓を飲み込みそうな姿が想像出来るのは私だけでしょうか!?
こちら、喜んで懐に収めさせていただきます。
お忙しい中、本当にありがとうございました!!