「あたし、右行くから!じゃぁね、バイバイ!」
「おいっ!」
「うっさい、悟浄のばぁぁぁぁぁか!」
付き合いだしてまだ3日
本日初デート……なのに
「別れる、絶対に別れる!」
最悪だ
『 、明日さ迷路行かね?』
『…迷路??』
『そ、超巨大迷路。』
『わぁ、面白そう!!』
『つ〜事で、8時に迎えに行くからさ。それまで口紅厳禁でヨロシク。』
『なんで?』
『ゴジョさんに、おはよぉのキスチョウダイ?』
『……バカ。』
電話切った後,あたしは部屋中に洋服や鞄や靴をばら撒いた
眉のお手入れも念入りにした
お肌だってとっておきの入浴剤でツルツルにした
お気に入りの口紅、香水、アクセサリーをテーブルに並べると、口元が緩みっぱなし
気が付けば電話を切ってからもう、3時間も経っていた
慌てて布団に入っても、心音がうるさくて中々寝付かれなくて……
それなのに
朝、チャイムが聞こえた瞬間ドアを開けたあたし
『悟浄、おはよう!』
『お!……おっはよぉチャン。んじゃ、行きますか?』
『え?あの……ちょっと待ってて。』
『ナニ、忘れ物?』
『……く・ち・べ・に、塗ってくるの!』
誰だよ、口紅厳禁〜なんて言ったのは
一人期待してドキドキして、バカみたい
何か態度…冷たい感じだし
口紅塗るために向かい合った鏡に写ったあたしは、
ちょっとブスになってた
そんな気分のままで現地に到着すると、
朝の出来事の数倍最悪な出来事に遭遇した
『…今ので6人目。』
『何が?』
『逆ナンしてきた女の数!』
『モテル男は辛いねぇ。』
……もうダメ、我慢の限界だ
昨夜のあたしのドキドキや乙女の頑張りを返せ!
『あたし、右行くから!じゃぁね、バイバイ!』
『おいっ!』
『うっさい、悟浄のばぁぁぁぁぁか!』
で、怒りに任せて迷路の中をさまよって
あたしは立派に迷子になりました
「……また来ちゃったよ、同じ所。」
隅っこに積んである小石は7個
その数だけここに来てしまったという事
「なぁんで帰らなかったかなぁ…バカなあたし。」
壁に寄りかかって地面に座り込む姿は、あまり褒められたものではないけど、
今のあたしには『休憩』がかなり必要だった
「…大体悟浄が悪いんだよね。あんなに頑張ったのに褒めてもくれないし、
他の女に声かけられてヘラヘラしてるし…。」
多分、今流れているのは悔し涙
「足痛い!泣きすぎで化粧も落ちた!ぜぇんぶ悟浄のせい!」
通り過ぎる人の目は完全無視で、あたしはお腹の底から大きな声を出した
「わりぃ…」
「へっ?!」
寄りかかっている壁の向こう側から声が聞こえた
「ご…じょ?」
カチッってライターの音と一緒に、もう一度聞こえた
「悪かった。」
「何で謝るのよ…」
「全部俺のせいなんだろ?化粧が落ちたのも足が痛ぇのも……」
そこは完全に八つ当たりなんですけど
「声かけてきたお姉チャンに愛想振り撒いたのは?」
「…反省シテマス」
次が一番肝心な所だったりするんですよ、悟浄さん
「ど〜して朝冷たかったのよ…」
「…………」
黙秘?この場においてそう来ます?
「ちょっと、聞いてんの!」
「…照れてたんだよ。すっげぇカワイイ笑顔で迎えてくれっから。」
あ、煙草の匂いがする
「ハァ〜、ダサ過ぎだっつ〜の……」
ポツリ一言聞こえた
「声だけじゃヤダ。」
「は?」
「声だけじゃヤダって言ってんの!ちゃんと目の前で言ってよ。それから…」
今、流れているのは絶対…嬉涙
「ここ禁煙だから。」
ククッって笑い声が聞こえた後
「かしこまり〜。」
声が頭の上から聞こえた
「え、ちょっ!何してんのよ!」
「目の前で言えって、ちゃんのリクエストに答えようかと?」
「じゃなくて!迷路の壁乗り越えるバカがどこにいるのよ!」
「ここにいますケド?」
お日様バックにヒラリと降りてくる
ずるいよなぁ
また、カッコイイ…とか思わされてしまった
「…悪いんだぁ。」
「イイ男は何やっても許されるんだぜ。」
「んな訳あるかい!」
目の前に立たれて慌てて顔を伏せた
「どした?」
「いや…あの……。」
今のあたしの顔は絶対、放送禁止に近い
色んな種類の涙でボロボロだもん
けど、そんなあたしの顔を暖かい両手でソット包み込んで
「の笑顔に惚れたんだぜ?顔、隠すなよ。」
約束どおりのキス一つ
「声だけじゃイヤなんだろ?の目の前で何度だって言ってやるし、何度だって…」
あたしが惚れてしまった笑顔が近づく
「シテやるし…」
最悪な一日が、最高の一日になった瞬間…でした
【ホームワークが終わらない】にご参加下さりありがとうございました!
サエさん、バリカッコイイ悟浄をありがとうございましたーっ♪
…ってか、うちの悟浄ちょっとサエさんとこの見習って来いっ!!(無茶言ってる(苦笑))
壁乗り越えてくる悟浄とか、かなりツボです!
こーいうことしてくれるの、大好きですっ!!
ちなみに私、巨大迷路なんぞに行った日には…迷子になります。
多分片手をついて行けば出れるんでしょうが、そんな冷静さは持ち合わせてございません。
だから、悟浄が壁向こうにいた日には救助を求めます。
…おかしい、素敵に甘いお話なのに、私がコメント書くとお笑い要素が増えてしまう(汗)
こちら、喜んで懐に収めさせていただきます。
お忙しい中、本当にありがとうございました!!