「お主もしつこいのぉ…」
「こ、こればかりは譲れませんっ!」
片方の腕は呆れ顔の夜一さんに取られ、もう片方には、今にも泣き出しそうな花ちゃんがしがみついている。
「ワシに任せればあっという間に治してやるのに…」
「ちゃんの手当てはぼくが任されてるんですっ!」
「誰もそんなこと言ってないじゃろ?」
「い、一譲さんとルキアさんに言われてますっ!」
夜一さんや花ちゃんの手を煩わせるような大怪我…という訳じゃない。
ただ転んで擦り剥いてしまっただけで、既に血も止まっており、このまま水で洗い流せば済むような小さな小さな怪我だ。
「全く、誰に似たか意固地じゃのぉ…」
「〜〜〜〜っ!」
かりかりと頭をかく夜一さんと、泣いてるんじゃないかってくらい肩を震わせている花ちゃん。
どうすればいいかわからず、おろおろ交互に二人の顔を見れば、ふと夜一さんの口元が緩んだ。
「を困らせる気はない…ここは花太郎に任せるか」
「ほ、本当ですか!?」
「夜一さん…」
「花太郎なら、小さな怪我でも丁寧に手当てするだろうしの」
「は、はいっ!勿論ですっ!」
ぱっと顔をあげた花ちゃんは半泣き状態…でも、嬉しそうに笑っていた。
それを見てつられるように笑みを浮かべたあたしだけれど、ふと身体が宙に浮く感覚に驚いて声をあげる。
「きゃぁっ!?」
「よ、夜一さん!?」
「手当ては花太郎に任す。じゃから手当ての場まではワシが運ぼう」
「え、えぇ〜〜〜〜!?」
「お主には無理じゃろう?」
「ぼ、ぼくだって…」
「無理じゃ」
花ちゃんの挑戦をスパッと一刀両断すると、夜一さんはゆっくり治療が行える部屋へ歩き出す。
「相変わらず軽いのぉ…ちゃんと食っておるか?」
「あ、は、はい…」
「ちょっ、待って下さい〜」
すたすたと歩く夜一さんに抱かれ、後を追いかけるようにあたしの手を掴んだまま花ちゃんが追いかけてくる。
結局、花ちゃんが手当てをしている間も、夜一さんはずーっとあたしを抱いたまま離してはくれなかった。
VSシリーズ…ってタイトルで押し通します!
今回は謎のコンビ?夜一さんと花ちゃんです。
なんだってこの2人なのかというと、私が好きだからです。
今書くと、また違うコンビになるかなぁ?
………あー…あかん、思いつかないわ(苦笑)
だがしかし、このコンビほど勝利者がはっきりしてるのはないと思います。
無理だって、花ちゃん…夜一さんには勝てないって(おい)