「ねぇ・・・キミ一人?」
「いいえ、人を待ってますから。」
時計台の下で待ち合わせをしている時に、ちゃらちゃらしたいかにもナンパという感じの男が声をかけてきた。
・・・私が言うのもなんだけど、何かその格好変だよ。
「ナニ?女友達?だったら俺の友達も呼んでさ、一緒に遊ぼうぜ♪」
「結構です!」
「そうそう、ちょうど暇してるヤツがあっちにいるからさぁ・・・」
そう言いながらとある店を指差すと、この人の友人らしき人が手を振ってるのが見えた。
こんなに嫌だって言ってるのにどうして下がらないの?この人。
しかも少しは人の話聞きなさいよ!
苛々しながらそれでも何とか笑顔を作り、最後通告の意味も込めてもう一度男にキッパリはっきり言ってやろうと大きく息を吸い込んだ。
「お・こ・と・わ・・・」
「彼女に何か用か?」
私が全てを言い切る前に男と私の間に割り込む人影があった。
それは私が待っていた人物で、私の・・・彼氏。
「何だこのガキ。」
「怜!」
「・・・これは知り合いか?」
いきり立つ相手を無視して私に声をかけてる姿を見て、目の前の男はどんどん不機嫌になっていく。
見るからに年下の少年にこれ呼ばわりされた上、その存在を無視されれば当たり前か。
悔しそうに唇を噛み締めている男を多少哀れと思いながらも私はキッパリ言った。
「いいえ、赤の他人よ。」
私がワザと油を注いでやれば、逆上した男が奇声を上げながらガキ呼ばわりした怜に向かって手を振り上げた。
「このガキ!大人をなめんじゃねぇぞ!!」
あ〜あ・・・馬鹿な男。
ふうっと小さくため息をついて視線を空へ向けると、何とも言えない大きな音が広場に響いたと同時に地面で餌をついばんでいたハト達がいっせいに空へと羽ばたいて行った。
「っつぅ〜・・・」
私に声をかけてきた男は、怜にあっという間に投げ飛ばされ地面に倒れ頭を抱えて唸っていた。
そしてそれを投げた当の本人である怜は服についた埃を払うと、ずれた眼鏡を直し何もなかったかのように私へ手を差し出してきた。
「さぁ行こうか。」
「あら?遅れてきたのに挨拶もなしなの?」
「・・・時間には遅れていない。」
自分の腕時計を指差す怜の表情はいつものように落ち着き払っていて、とても中学生とは思えない。
時計の針は今まさに昼の一時を示そうとしている所で、待ち合わせの時間には確かに遅れていない。
「・・・でもね、女性を待たすのは男性としてどうなのかしら?」
ワザと年上だという事をアピールしながら話せば、怜はちょっと睨むような顔でこっちを見る。
どんなに落ち着いた態度をしてても、そういう所は可愛いわよね。
それに貴方はまだ中学生なんだから、あたしに合わせてそんな無理して背伸びしなくていいのよ。
そう言う意味も込めて色々教えてるつもりなのに、彼のプライドがそれを許さないみたいね。
それでも小さくため息をついた怜はポツリと謝罪の言葉を述べた。
「・・・分かった、すまない。」
「うふふ・・・それじゃぁ行きましょうか。今日は何処へ?」
私より頭一つ小さい怜の手を取ってしっかり繋いで鼻歌を歌いながら歩き始めた。
「・・・、今日はやけに気分が良さそうだな。」
「ナイトが助けに来てくれたからね♪」
今まではあんな目にあっても助けてくれる人なんていなかった。
気の強い性格のせいで手を上げられる事も無かったとは言わない、でも今は・・・彼がいる。
そう思うと嬉しくて自然と声が大きくなる。
「さぁー!今日は何処へ行くの!!」
「・・・行き先は美術館だ。頼むからもう少し落ち着いてくれ。」
大げさとも思えるほど大きなため息をつく、中学生とは思えない落ち着いた少年・・・日渡怜と20歳とは思えないほど落ち着きの無い私・・・は今日の目的地でもある美術館に向けてゆっくり歩き始めた。
勿論、美術館についてからも私の態度が落ち着くなんて事はなくて、何度か怜に注意されたのは言うまでも無い。
――― 普通の中学生になりたい ―――
怜の願いは叶っているのかいないのか・・・それは本人にしか分からない。
あまりにも更新できないので、手直ししなくて良さそうな眠ってた作品を持ってきた(笑)
今でも時折何かオイシイ話書けないだろうか・・・と企んでいる日渡怜くん。
作品自体は今でもアニメのみの知識で書いています(おいっ)
だって原作の知識を入れると日渡くんに彼女なんて到底考えられなくなるんですもの(TT)
日渡くんドリームでは年の差カップルです(笑)書いてて楽しいです(笑)
出来れば年の差に苦しむ日渡くんとか書いてみたいんだけどなぁ〜♪
で、丹羽君と原田姉を見て(未だに名前を覚えてません(笑))「丹羽達はいいな。」と言って微笑んで貰う〜vvv←大馬鹿。
もし今後そんな話がUPされたら・・・やりやがったな、と思っといてください!