梨紅さんが友達と買い物に出掛けると言うから一人で帰ろうとしたんだけど、ちょうど下駄箱の所に日渡くんがいたので途中まで一緒に帰る事にした。

「・・・ねぇ、日渡くん。」

「なんだ丹羽。」

「日渡くんさ、前に『普通の中学生になりたい』って言ってたよね?」

「・・・あぁ。」

そう、まだ僕の中にダークがいて、日渡くんの中にクラッドがいた時・・・日渡くんは僕にそう言った。



でも僕、最近思うんだ。



「僕、日渡くんは普通の中学生には・・・なれないと思う。」

少し前を歩いていた日渡くんがピタリと足を止めて振り向いた。

「どう言う事だ?」

「だっだって・・・」

僕がその理由を言おうとした瞬間、前方から女の人が走ってくるのが見えた。

「・・・あ。」

「怜〜♪」

「・・・?」

日渡くんが振り向くと同時にさんはしっかりと日渡くんの首に両手を回して飛びついた。
こんな風に愛情表現が溢れちゃうさんって・・・ちょっと母さんに似てる。

「もうここまで帰ってきちゃったの?折角迎えに来たのに・・・」

「昨日遅くまでレポートやっていただろう。休んでいた方が良くないか?」

「大丈夫。怜先生のおかげで予定より早くレポート上がったから良く寝たよ。」



・・・ほらね。こんな所がもう普通の中学生じゃないんだよ、日渡くん。



はぁ・・・とため息をついても、目の前にいる二人にはお互いしか見えてないみたい。

「ね?一緒に買い物して帰らない?昨日のお礼に怜の好きな物作ってあげる。何がいい?」

「・・・が作るものなら何でもいいよ。」

「もーそれじゃぁ何がいいか分からないでしょ?お肉?お魚?」

「じゃぁ魚。」

「了解!美味しい煮魚でも作ろうか。」

「あぁ。」

普通の中学生はアメリカで大学なんて卒業しないし(しかも飛び級!)高級マンションで一人暮らしもしない。

それに・・・それに・・・

「そう言えば丹羽、さっき何か言いかけてなかったか?」

「もう・・・いい。」

「どうしたの大助?ちょっと元気ないわねぇ・・・熱?」

僕の前にしゃがみ込んで母さんみたいに額を合わせて熱を測ろうとするさんから慌てて逃げる。

「うわわっだ、大丈夫だからっ!!」

「顔真っ赤よ?やっぱり熱じゃない?」



尚も僕の方に手を伸ばしてくるけど・・・お願いだから止めてよっ!
さん何か家にいた時と違ってすっごくいい匂いするし!
あの時よりもすっごく綺麗になってるし・・・あんまり近くに来ないでっ!!



僕が両手で顔をガードしていると、くすくす笑いながら日渡くんがさんの肩を軽く叩いた。

「・・・丹羽はに見惚れたんだよ。」

「あら?じゃぁ誰かさんは見惚れないってコト?」

「そんなわけ無いだろ。がこれ以上丹羽に近づかないようこうして引き止めてるんだ。」

「・・・上手くなったわね、口。」

「おかげ様で。」

そんな二人のやり取りを見て、僕は思わずその場にしゃがみ込んでしまった。
ううん、しゃがみ込んだって言うよりは二人の空気に当てられたって言うのが正しい。

「丹羽、話が無ければ帰ってもいいかな。買い物に行きたいんだ。」

「あ、うん。」

「また今度マンションに遊びにいらっしゃい。大助の好きなご飯、いつでも作ってあげるわよ♪」

「じゃぁまた明日、学校で。」

「車に気をつけて帰るのよ、大助。」

そう言ってさり気なくさんの手を取って歩いていく日渡くんに、今日も僕はある事を言えなかった。





普通の中学生は年上の女の人をそんな風に上手くあしらう事なんて出来ないよ!!!

・・・言った所でどうなるわけでもないんだけどね。





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可哀想な丹羽くん(苦笑)
前回一緒に暮らそうと約束をした二人は、現在同棲中らしいです(爆笑)
あ、いつもの事ですが私の書くD・N・ANGEL話はアニメしか参考にしてません。
ですのでこの話もアニメの後、という事でお父さん亡き後高級マンションで1人暮らししつつ学校に通っています。
まぁきっと会社の事も多少は手を出してるんでしょうね(そうしないと収入ないし・・・)
ヒロインも魔石が無くなってから(ダークがいなくなってから)は丹羽家を出て一人暮らしをしていたので簡単に日渡くん家へ引越して行きました。
この話を書いてて思ったのは、丹羽くんにとってヒロインは憧れのお姉さんだったのねという事です。
それなのに目の前でベタベタされちゃって可哀想に・・・という事で、一番最初の可哀想な丹羽くんに繋がるのでした(笑)
さーって次は捏造も捏造!!ダークとクラッドのお話だ♪(まだやる気かコイツ!!)