こうしなければ、ならなかった…



失くしてから、初めて気付いた
彼女の笑顔に、どれだけ救われていたか…を ―――



立ち上がれ
立ち上がらなければならない

けれど、今は…

「朝を、待とう…」

好機を起こすのではなく
今は、ただ…

――― あの笑顔を胸に、朝を待つ ―――

















暗闇の中、ひとつの影を見つけた。

「…ルルーシュ、くん?」

「…」

「なんで、こんな所に?」

「…こそ」

いつものルルーシュくんらしくない。
自信に満ちた顔でも、皆が騒ぐような笑顔でもなく…まるで何か、大切な物を失くして泣きそうになってるような、顔。
持っていた荷物を置いて、隣を指差して一応声をかける。

「隣、いい?」

「…」

無言の声に、少しだけ距離を空けて腰を下ろす。
ちらちらと様子を見つつ、ポケットを探ってそこにあった物を彼の前に差し出す。

「使う?」

「…何を…」

「あの…」

降り出した雨の雫とは別の物が、俯いた彼の足元にぽつりぽつりと落ちている。
それを拭うように差し出したハンカチは、彼の手に渡る事無くそのまま…私の手と共に握られた。

「ちょっ、ルルー…」

…すまない、……ィ…

「え?」

そのまま、手を引かれ気付いた時には…彼を胸に抱きとめていた。

縋るように背に回された手が、食い込むように私の身体を掴んでいる。
小さく震える肩は、いつもの彼とは似ても似つかない。

目の前のこの人は…誰?



ぽつり…ぽつり……



雨が肩に、腕に…
次第に強くなる雨足、雨音…

でも、それよりも胸に染みるのは…
目の前の彼の、涙。




















ぽたり、ぽたり…

雨が止み、濡れた髪から雫が落ちる。
それと同時に…雲が晴れ、ゆっくり朝陽が昇り出す。

閉じていた瞳を開けると、目の前に濡れた漆黒の髪。

「ごっ、ごめんっ!雨宿りもしないでこんな…」

「いや…」

自分の行動が信じられなくて、一気に染まった頬を隠そうと、彼を抱きしめていた手を解く。



やだっっ!
私ってば、こんな風に男の子を抱きしめて…
しかも相手は、あのルルーシュくんよ!?



「も、やだぁ〜」

「…心配するな」

「…え?」

頬を覆っていた私の手に重なる、細くて大きな手。
そして初めて至近距離で見る、彼の…顔。

「ルル…」

「…」





「ね、と私の声って似てない?」

「え〜シャーリーと?」

「うんうん似てる、似てる!」

「それじゃあ、代返とか出来るかな?」

「あははは、そんなのすぐバレるよ。席にいないんだから!」

「あ、そっか…」






「…ありがとう」



――― そして彼は、再び修羅の道へ行く…





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パソコン作業をしている時、熱中してみないビデオってのはとても重要です。
そういう時に大活躍しているのが…撮り溜めてたギアスと死神(笑)
何気なく見ていたらギアスはとにかく続きが気になって、何度か再放送がかかったので穴を埋めてみた…んだっけな?
ちなみにR2は見事に見逃しましたので、再び再放送待ちです(苦笑)
この話は、シャーリーにギアスを使ったルルがあまりに切なくて書いた話です。
どうしても、あのルルを抱きしめてあげたかったんです。
でも、無関係な人じゃ駄目だろう…あ、それじゃあ声が似てるって事にすればいいかな?
という訳で、書いた話でございます。
…夢小説なのかと言われるとちょいと違う気がしますが、期待した人がいたらすいません(苦笑)
ちなみにギアスでは女の子が好きです、シャーリーとかナナリーとか…あ、あとユーフェミアとコーネリアも(見事に全部女性ってのが凄い(笑))