いつからかあの子の事が気になりだした。
つい最近上忍になり、念願の教師の職についた・・・イルカ先生の幼馴染、の事が。
ちょっと前まではそこら辺の女となんら変わりなかったのに、いつからか急に魅力的な女になって・・・オレ達上忍仲間の間でも彼女の相手を望む者は多い。
だが、それを退けているのは・・・幼馴染のイルカ先生だけでなく・・・彼女の天然さ。
はっきり言っても・・・分かってくれないんだよね、あの子は。
目の前にある酒を手酌でグラスに移すとその中味を一気に飲み干す。
木の葉の里の忘年会と称して火影様が一席設けてくれた場に、彼女も来ているが部屋の隅のテーブルで他のヤツが割り込めないようしっかりイルカ先生が隣をキープしている。
・・・ちょっとズルイでしょ、あれは。
火影様に任務の報告書を提出して帰る途中、たまたま一人で歩いてるちゃんを見つけて声をかけた。
真っ白な肌にサラサラの黒い髪、小さくて艶々した赤い唇。
彼女を見て声をかけない男なんていないでしょ?ってくらい、綺麗に成長したよな。
「どーも、こんにちは。」
「・・・カカシ先生?」
「今帰り?」
「いいえ、ちょっと教室が殺風景だったので花を買いに行く所です。」
そう言って微かに笑うキミがいれば花なんかいらないでしょ・・・って、他の女の人が喜ぶような台詞をこの子に言っても意味無いんだモンな。
ホント・・・どう攻めればいいのか分からないよ。
「ふーん・・・そう。」
彼女と話をしてると時間が経つのが早い。
いつの間にやら彼女の目的地である花屋の近くまで来てしまい、ちゃんはペコリと頭を下げて花屋を指差した。
「それじゃぁこれで・・・」
あのイルカ先生が側にいないなんて事早々あるもんじゃない。
俺は立ち去ろうとする彼女の名前を呼んで、振り返った瞬間・・・恐らくこの里にいる大多数の男を代表してある質問をしてみた。
「ねぇ、ちゃんは彼氏って・・・いるの?」
「いませんよ。」
・・・あっさりしてるねぇ。ま、そこもいいんだけどさ。
「じゃぁイルカ先生は?」
「イルカは幼馴染ですよ。カカシ先生もご存知でしょ?」
そりゃね、ちゃんから見たらイルカ先生は幼馴染でも、逆から見たらどう見ても・・・惚れてるとしか思えないんだけどね。
でもフリーなら話は早い。
「じゃぁさ、今好きな人はいるの?」
さっきと同じように即答するかと思ったが、今度はちょっと間があった。
「・・・いない、です。」
真っ白だった頬は見る間に赤みが差し、何処となく春の桜を思わせる。
すぐに想う相手がいる事は分かったが、その時は彼女に思わず見惚れてしまいそれ以上聞けなかった。
じーっと彼女の方を見ていたら、イルカ先生が同僚に連れられて席を立った。
この機会を逃すものかとすぐさま新しいビールとグラスを二つ持って彼女の元へ向かう。
「どーも、今年も一年オツカレサマ。」
「あ、カカシ先生。」
酒を飲んだのかほんのり頬を染めた彼女は、あの時と同じで・・・妙に色っぽい。
「一杯・・・ど?」
「あ、じゃぁ・・・頂きます。」
出されたグラスにビールを注ぐと、彼女も同じようにオレのグラスにビールを注いでくれた。
さっきまで一人で飲んでた時とは比べ物にならなくらい・・・酒が美味く感じる。
「先生も大変でしょう、アカデミーの生徒は生意気なのが多いから。」
「でもそれは皆元気って事なんで、全然苦じゃないですよ。」
「すごいなぁーオレには絶対無理。」
「カカシ先生はそのままでも十分凄いじゃないですか。」
「そ?」
「はい。」
惚れてる彼女が隣にいて、周りには今の所邪魔者はいない。
こんなチャンス、滅多にあるものじゃない・・・今を逃す手はない、かな。
「あの・・・先生・・・」
「私、ずっとカカシ先生の事・・・好きだったんです。」
「はいぃ?」
今まさに自分が言おうとしていた事を先に言われてしまい、思わず手に持っていたグラスを落としそうになる。
「まだ中忍になる前は私も子供で、色々失礼な事ばかり言ってすみません。それから色々学んで、その、先生につりあうよう頑張ってきたんですけど・・・」
そのあと彼女は急に言葉につまり、手に持っていたビールを一気に飲み干して息を吐いた。
・・・棚から牡丹餅ってこういう事?
オレとした事が目の前で言われた事も理解できないくらい動揺しているらしい。
抱いてきた女なんて吐いて捨てるほどいるこのオレが・・・。
「カカシ先生は私の事・・・嫌いですか?」
酒で頬を染め、目を潤ませたちゃん・・・これで落ちないオトコがいるわけないでしょ!
「オレも・・・君の事が・・・」
「あー・・・また酒飲んだな?」
オレが告白をしかけた寸前、イルカ先生がやってきて目の前の席に座って彼女が持っていたグラスを奪った。
「すみません、カカシ先生。コイツヘンな事言ってませんか?」
「は?」
「例えば・・・カカシ先生のことが好きです、とか。」
何でイルカ先生が知ってんの!?
いや、相談してたとか・・・そう言う事か?
目だけはいつものようにまっすぐイルカ先生の顔を見て、平然を装っているが内心はかなり動揺している。
そんなオレの事などお構いもせず、イルカ先生は隣のちゃんに水を手渡した。
「ほら、飲んで。」
「あのねイルカ・・・あたし前からイルカの事好きだったの。」
なっなにー!!ついさっきのあの告白はナンだったんだ!?
「はいはい。どーもありがとね。」
「本当よ!」
「はいはい。」
彼女が言う事をまるで何かを強請っている子供をあしらうかのように扱うイルカ先生に、思わず声をかけた。
「あのーイルカ先生?どうしたんです・・・彼女。」
「は酒を飲むと口説き魔になるんです。」
「口説き・・・魔?」
「えぇ。小さい頃こっそり飲んだ梅酒で酔っ払った時からなんですけどね。この年になってやられると結構相手も本気にするじゃないですか。だからこういう席では飲むなって言ってるんですが・・・」
「・・・本当ですか?」
あの感情のこもった台詞が嘘とは思えない。
思わず口から漏れた言葉にイルカ先生はちゃんにある事を尋ねた。
「、火影様のことどう思ってる?」
「大好きよ、ずっとずっと昔から・・・」
「じゃぁ4代目は?」
「好きに決まってるでしょ!」
「枝豆は?」
「食べちゃいたいくらい・・・好きv」
その表情は先ほど見せた物とほぼ変わりない・・・オレの中にあった甘い夢がガラガラと音を立てて崩れた。
「すみません、ご迷惑かけたみたいで・・・」
「いや、別に。」
「でも酔っ払った彼女は・・・」
その後もイルカ先生が彼女の話をしているが、オレの耳にはついさっき聞いたばかりの彼女の告白が繰り返されていた。
「私、ずっとカカシ先生の事・・・好きだったんです。」
・・・はぁ、あれも幻だったのか。
ため息をつくとイルカ先生に断りを入れその場を離れた。
別のテーブルにあった熱燗とお猪口を手に外に出ると、綺麗な月が空に浮かんでいた。
冷たい冬の空気を肌で感じながら、外のベンチに腰掛けボーっと空を眺める。
「・・・あんなクセがあるとはね。」
幼馴染には敵いません・・・か。
お猪口に入っていた酒を一気に飲み干し、再び熱燗を手にしてふと頭にあることが思い浮かんだ。
「・・・待てよ?彼女がオレに告白した時、まだ酒は飲んでなかったんじゃないか?」
思い返せば彼女が最初に飲んでいたのはどう見てもオレンジジュース。
顔が赤かったのはひょっとして鍋をつついていたからか?
とすると、彼女が最初に酒を飲んだのはオレのことが好きだと言った・・・あと?
「あー・・・でもちょっと自信ないわ。」
飲んでいないと言い切れない。
彼女とずっと一緒にいたイルカ先生に聞いても・・・多分教えてもらえないだろう。
「って事は、また改めてチャレンジ・・・ってこと、かな。」
それでも今までよりずっと可能性は増えた。
取り敢えず自分は嫌われてはいないらしい。
「ま、今の所は先生と同じ輝きを持った月と一緒に乾杯と行きますか。」
月に向かって軽くお猪口を掲げてその中味を一気に飲み干す。
まるで彼女の全てを自分の物にするかのように・・・。
・・・100000hit祝いに書いた事のないドリを書いてみようv
ずっと話題には出していたのに、一度も書いていない事に気付いて眠っていた話を持ってきた(笑)
でも初期設定とヒロインがちょっと代わってる(汗)
書いてる時は同じヒロインを頭に置いてたんだけど、年齢と経験値と上忍+先生になったと考えたら妙に落ち着きが出てしまった(笑)
ま、カカシ先生相手だったらこんなもんか(おいっ)
本当はカカシ先生だけ絡めるつもりだったのに!何故かイルカ先生が出てきてしまった!!
どうしてもカカシ→ヒロインになるとそこに←イルカを絡ませたくなる(苦笑)
だってだってー!!和彦さんと関さんに口説かれるなんて乙女の夢でしょう!(違わないけど違うっっ)
100000hit記念最後のドリームがこんなお笑いネタで申し訳ない(苦笑)
ひょっとしたらこれ、感謝祭終了後1回引き上げて書き直すかもしれません(時間無くて手直し少ししか出来なかったから・・・)
それでも一応初ナルト夢★←おいおいおい(汗)