「さぁ、和人!引くのだ!」
「えー!?」
「我が作ったこの秋葉原限定おみくじは、多分恐らく大体の確率で大当たりする予定なのだ!」
「シューマイくん、それ…当らないって事じゃない?」
「信じるも救われろ!なのだ!」
信じる者は救われる、だよ。
ため息をつきながら、取り敢えず妖しげな箱に手を入れる。
「うわっ、何?!なんかモニュってしたよ!?」
「そうなのだ。それがクジなのだ」
「えー!?」
「さぁ、引くのだ和人!運命は我にアリ!」
もー、何が何だか分からないケド…でもモニュっとしたのは嫌だなぁ。
「和人〜逃した海老は鯛なのだ♪」
「…もー、何が言いたいか分からないよ」
とにかく、この箱から手を抜かないと終わらないって事だよね。
「そうなのだ。早く引くのだ。次の人が待ってるのだ」
「えぇっ!?僕以外にも引く人いるの!?」
「秋葉原の仲間達なのだ♪」
それじゃあ最初っからそっちに行けば良かったのに。
「ぐずぐずするななのだ、和人!」
「分かったよ。じゃあ…」
そう言って、最初に掴んだモニュっとした物から手を離して…ずっしりした物を手に取る。
「これ…って、重っ!!」
「負けるな和人!引っ張るのだ!」
「引っ張るって…お、重いぃ〜…」
ただの箱なのに、砲丸でも入ってるの!?
「ふふふ、この箱の中は四面楚歌なのだ!」
「四次元とかいいたいの!?」
「おー、そうなのだ。ポケットなのだ♪」
「うわ…も、もうダメ〜〜〜っ!!」
掴んだ物が重くて手を離した瞬間、逆に僕の身体が箱の中に引きずり込まれた。
「うわーーーーーーっ!!」
真っ暗闇の中を落ちて…るのか、昇ってるのか分からないけれど、暫くたって目を開けたら…僕は富士山にいた。
「…はぁ!?」
富士山の麓には、ナスに割り箸の足がついていて馬みたいに走ってて…あぁ、お盆の時に仏壇によく飾られてるよね。
それから富士山の上の方では、鷹が軍隊みたいに並んで飛んでいる。
「どういう事?」
困惑していると、眩しい太陽がくるりとこっちを向いた。
するとそこに、何故かバームクーテヘン教授の顔。
「やぁ、新田くん。随分とめでたい初夢を見ているね」
「え?」
「1富士2鷹3茄子…今年はいい一年になるよ。…多分ね」
「…はぁ」
「良かったね、和人くん」
「なんだ、彼女でないじゃん」
「つまらないのだ」
目を開けると、何故か先輩達が僕を見下ろしていた。
「え?…え?」
起き上がろうとしたら、頭にコードがいっぱいついていて起き上がれない。
もしかして、Drが前に言っていた…夢をモニターに映す機械、が…ついてる…とか!?
「急に動くとコードが切れるのだ」
やっぱり!
でも驚いて怒るよりも、普通の夢を見ていて良かった…と素直に思ってしまった。
そんな僕の心を読んだのか、Drが僕の側にやって来てポツリと呟く。
「ちゃんの夢じゃなかったんだね」
「ど、どくたぁーっ!!」
「大丈夫。放送出来ない夢は、画面に出ないように設定されているよ」
「…あ、ありがとうございます」
「でも意外にストイックだね、新田くん。まだ彼女と手も繋いでいないなんてね」
「え…ど、どぉして知ってるんですか!?」
「ふふふふ…」
「ちょ、Dr!?ドクター!!」
妙な笑みを浮かべて歩いていくDrの後を慌てて追いかける。
僕の今年の目標は、彼女と…と手を繋ぐこと
誰にも言ってないのに、どうして分かったんですか!?
web拍手より、名前変換を追加しての再録。
2007年の新年のweb拍手…だったようですねぇ。
ってか、こんなおみくじは嫌です…もにゅってなんだよ、もにゅって(苦笑)
でも夢をモニターに映す機械…というか、技術は羨ましいです。
滅多に、そりゃ滅多に残しておきたい夢なんて数年に一度しかみないけどもさっ!
でも、そーいう夢見たら映像に残しておきたいじゃないか!
…Dr.HAYAMI、早く特許取ってください(凄い無理)