「僕がキミを…を守るから!」

それはアスランがプラントへ引っ越してしまってすぐの出来事。
まさか自分がそんな事をに対して言うなんて思ってもみなくて、自分でもびっくりした。






僕が先生に言われた手伝いを終えて教室で待っているの所ヘ急いで戻ろうとした時、ありえない場所にがいて思わず立ち止まって目を擦った。
だっては僕が待っててねって言った場所から今まで一度も動いた事がないから…約束を破る、何て事は絶対にしない子だから最初は絶対に見間違いだと思った。

でも…手にしているカバン、確かアスランと3人で色違いで買ったカバンだし、二つ持ってるからあれは僕のだよね?

ヘンだなぁと思いながらも裏庭の方に歩いて行くが気になって室内靴のまま中庭に飛び出して後を追った。
角を曲がった所でに声を掛けようとしたら、何だか知らないけど数人の女子がを取り囲んで何か言っていた。
ちょっと離れすぎてて良く聞こえないけど…あまりいい雰囲気じゃないみたい。

「生意気なのよっ!アンタ!!」

「何でアンタみたいなのがキラくんやアスランくんと一緒にいるの!?」



…それは幼馴染だからなんだけど、あの子達は何でそんな事でを取り囲んでるんだろう?



「アスランくんがいなくなったら今度はキラくんに乗り換え?」

「酷い子よねぇ?」

「キラくん可哀想。」

が何か言おうとしているのに、それを言わせないかのように取り囲んでいる子達が口々に心無い事を言ってを困らせている。



…まさかは、今までも僕やアスランのいない所でこんな事言われてたの?
それなのに、いつもいつも笑顔で僕の側にいてくれたの?



「ホント、軽いオンナよね〜アンタ。」

嫌な笑いの中心にいながらもがぐっと唇を噛んで耐えている様子が伝わってくる。
が耐えているのに、ここで僕が出て行ったら折角が耐えてるのが無駄になる!
そう思ってギュッと拳を握って耐えていたけど、次に見てしまったその行為には…耐えられなかった。
キッと睨みつけるようなの視線が気に食わなかったのか、先頭に立っていた背の高い女の子が手を振り上げての頬に容赦なくその手を振り下ろした。
そのままバシッと言う鈍い音が裏庭に響くと同時にが地面に倒れこんだ。

!!」

気付いた時にはなりふり構わずの前に飛び出して、その体を抱き起こして顔を覗きこむ。
赤く腫れ上がった頬にそっと手を添えて、の目が開くまで何度も何度も名前を呼んだ。

!!」

「ん…キ、キラ?」

うっすら目が開いて僕を見てくれた事に安堵すると、突然の僕の登場に狼狽した女子達が徐々に後ずさって行くのが視界の端に映った。

「…今、何をしたか分かってるの?」

「キ、キラくん…」

「僕、全部見てたから、あなた達のやった事。」

僕の台詞にその場にいた全員の顔色が一瞬にして変わり、お互い顔を見合わせている。
の体をギュッと抱きしめながら彼女達をキッと睨んだ。

「今度にこんな事したら…僕、絶対に許さないから。」

「でも…」

「…何?まだ何かあるの?」

一切の弁解を許さない、冷たい一言を放つとその場にいた女子達は奇声を上げてその場から逃げて行った。
全員がいなくなったのを確認してからポツリと呟く。

「…逃げるくらいならイジメなんかするなよな。」

「キラ…」

「あっ!ごめんね。勝手な事して…」

抱きしめていた腕を緩めてもう一度叩かれた頬に視線を向ける。
明かに赤く腫れてしまった頬が痛々しい。

、保健室行こう。手当てしてげるから…」










保健室に来たけど保健の先生が職員会議でいなくって、結局保健委員のが自分で手当てを済ませてしまった。
せめて救急箱の片付けくらい手伝おうと、それを受けとってに背を向けた瞬間…凄くビックリする事をが言ったから思わず聞き返した。

「え?今なんて!?」

「だからね、あの人達を怒らないでって…」

そんな風にケガをさせられて!?
しかも自分の事じゃなくて僕とアスランと一緒にいるってだけで見えない傷もいっぱい付けられたのに!?
それなのに怒らないでって…

「何で!?なんで?僕わからないよ!」

「あのね、あのひと達もあたしと一緒で二人が好きなの。」

「え?」

「だからね…ヤキモチ焼いてるんだと思うの、多分。」

「…」

一緒にいるだけでヤキモチって焼くものなの?
付き合ってる訳でもないのに!?

「あたしもアスランとキラが他の女の子と喋ってると胸が苦しくなるもん。だから…きっとそれと同じなんだよ、皆。」

そう言ってにっこり笑うの頬には大きなシップが貼られていて…が怒らないでって言っても、僕はアスランみたいに黙ってはいられない。

自然と零れてくる涙を拭わずにベッドに腰掛けているの目をじっと見つめ呟く。

それじゃぁ…僕がを守る。

「え?」

「あの子達の事は怒らない。その代わり、僕がの事守るから。こんな風にケガしないように…僕が、守るから…だから…」

何でこんなに涙が出るのかわからないけど、今の僕の顔…あんまりには見られたくないって思った。
だからの体をぎゅっと抱きしめてその肩口に顔をうずめながら、きっとには聞こえないだろう言葉を紡いだ。



「だから…僕の側から離れないで…」



「…キラ……」

ビックリしていたの肩の力が抜けたかと思うと、僕の背中をがギュッて抱きしめてくれた。

「ありがとう、キラ。」

「…うん。」





自分がこんな事女の子に向かって、ましてずっと一緒にいるに向かって言うなんて思っても見なかった。
きっとアスランがいたらすっごくびっくりしただろうな。

んーそれとも逆にこう言うかもしれないな。

「キラには無理だ」

なーんてね。

でもアスランにそんな事言わせないくらいしっかり守り続けるから…絶対、約束するよ。





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投票でキラのコメントの熱さに圧倒して・・・書いちゃいました(笑)
「僕が守るから」って言う台詞と、泣きながら・・・と言うのが印象的だったのでそれを使って見ましたが如何でしょうか?!
今の所SEEDで考えているヒロインとキラの接点が月の幼年学校時代しかないもので、話がそこしか浮かばない(TT)
小さなキラがその小さな手を一生懸命広げて守ってくれている様子が伝われば嬉しいです。
私もキラは白黒どちらでもオッケー・・・ですね。
と言うか真っ黒キラは怖くて書けない気がします(苦笑)私的に・・・ですが。