「あの・・・これを貴女に・・・」
「まぁアスランから初めての贈り物ですわね?」
政治上であるとは言え婚約者の元を訪れるのに手ぶらでは何かと格好がつかない。
アスランはある物を箱に詰めて綺麗にラッピングするとそれを持ってラクス・クライン嬢宅を訪れた。
「開けてもよろしいでしょうか?」
「えぇ・・・勿論。」
何処かわくわくするような表情で箱をあけたラクスは、中に入っていた物を手に取ると不思議そうに眺めた。
「これは・・・なんですの?」
アスランはラクスの手に乗せられているピンク色の球体を指差し、それを説明した。
「あの・・・女性への贈り物と突然言われて・・・その、これはハロと言って僕が作ったものなんです。」
「まぁ、アスランが作られましたの?」
驚いた表情で顔をじっと覗きこまれ、アスランは少し恥ずかしそうに視線を反らした。
「はぁ、まぁ・・・」
「こんにちはハロ。私はラクスですわ。」
ラクスはアスランがハロと言った球体に向けて何気なく挨拶をすると、その球体はラクスの手から離れ床に転がると、突然耳のような羽のようなものを開いてラクスの周りとピョンピョン飛び回り始めた。
「まぁ!この子は動きますのね。」
「はい。」
「ラクス!ハロ!ラクス!」
「まぁっ!この子、おしゃべりも出来るんですの?」
「えぇ・・・一応。」
アスランは後悔し始めていた。
いくら何を女性へ贈ったらいいか分からないとしても、自分の作ったロボットを上げるのはいけなかったかと思ったのだ。
しかしラクスは不思議そうにハロの動きを目で追い、そっと手を差し出すとその上に飛び乗ってくるハロを大層気にいった様子だった。
「アスラン、ありがとうございます。私とても嬉しいですわ。」
そう言ってにっこり笑ったラクスの表情が記憶の奥に眠っていたある少女の面影と重なり、アスランは一瞬声を無くした。
「どうかなさいました?」
「あ、いえ・・・すみません。ちょっとボーっとしてしまって・・・」
「何だかとても・・・お優しい顔をしてらっしゃいましたわ。」
「え?」
「今まで見たことがないくらい穏やかで優しいお顔・・・でしたわ。」
ラクスに言われて自分が記憶の中の少女をどれだけ大切にしていたのか気づいた気がした。
「昔を思い出していました。まだ戦争なんてものが起こるなんて全く思っていなかった・・・遠い昔を・・・」
「早く終るといいですわね。」
「そうですね。」
記憶の中の少女の行方はまだわからない。
俺がプラントへ移ってから、あの子もプラントへ移ったのか。
それともまだ月に残っているのか。
もし、あの子が何処かで生きているのなら・・・あの子の為にも俺は戦う。
あの頃の綺麗な思い出だけは誰にも汚させない。
ヒロイン・・・名前も無けりゃ姿も無い。
あるのはアスランの頭の中だけ・・・これで夢話と言えるのか?否、言えないだろう。ごめんなさいm(_ _;)m平謝り
ラクス嬢のほわんとした笑顔が幼い頃のヒロインの顔をアスランに思い起こさせる・・・と言うのを書きたかったんです。
(この次の話の伏線ですね、早い話)
その事をキッカケにアスランにとってヒロインが大切な女の子だったんだと言う事に気付く・・・と言う話。
私、ラクス嬢のほわんとした話し方…好きみたいです(笑)
声のせいもあると思うんですが、ラクスの口調書くの楽しかったです♪
今後この人は天然でアスランとヒロインに色々やってくれる予定(書ければ(苦笑))