今日の訓練を全て終え部屋に戻ると、ちょうど勤務交代で戻ってきたと入り口でばったり会った。
「アスラン!」
「交代時間?」
「ううん、休憩時間。アスランは?」
「俺は今日の訓練終了。明日、0600に野外演習が組まれてるから早く休もうかと思ってね。」
がカードキーを操作して扉を開けてくれたので、一足先に中に入った。
扉が閉まると同時にが俺の背中に飛びついてきた。
「わ〜い♪アスラン!!」
「こっこら!」
いくら部屋の中では昔と同じように過ごしていいっていったけど、はもう子供じゃないんだからこういう事はダメだって…何回言ったら分かってくれるんだろう。
気付かれないようため息をついて後ろから首にギュッと巻きついているの手を解いて振り返る。
「もう大人なんだからこういうのダメだってこの間も言ったろ?」
「何で?」
「いや、何でって言われても…」
「アスランはあたしが側にいるの嫌なの?」
ああぁ…そんな目で俺を見ないでくれよっ!
どうして俺がそんな風に見られなきゃいけないんだ?
「嫌とかそう言うんじゃなくて…だから…」
「だから?」
小首を傾げて俺の目をじっと覗き込むは…訳が分からないという顔をしている。
…やっぱり言っても無駄か。
「…もういいから、取り敢えずちゃんと戸締りを確認してから飛びついてくれ。」
「はーい!あ、アスラン休む前にお茶飲まない?」
「貰おうかな。」
「じゃぁちょっと待っててね♪」
どんな厳しい訓練を終えた時よりも疲れた気がするのは…何でだろう。
女の子って…難しい。
「ねぇ、前から聞きたかったんだけど…」
「うん何?」
の入れてくれた紅茶を飲みながら、ふと以前から気になっていた事を聞いてみた。
「どうしては赤の軍服を着ているんだ?これはアカデミートップの軍人が着ているはずの物なんだけど、は俺と会った時から赤を着ているよね。」
ずっと気になっていたんだ。
今は隊長の秘書として働いているだけど、最初はただの軍医としてこの艦に乗船したはず…という事は、アカデミー卒では絶対にない。
それなのに何故『赤』を身につけているのか…
しかし俺はその理由を聞いた事をあとから後悔する事となった。
「隊長がくれたの。」
「…え?」
紅茶のカップを危うく床に落としてしまう所だった。
今、何て言った?!
「…今、何て?」
「だからね、この服は隊長がくれたの。」
「はぁぁ!?」
「最初は普通の一般の人と同じ緑の軍服に白衣を着てたんだけど、隊長の秘書になってすぐかな…『女性なのだから赤い色の方が好ましいのではないか?』って言ってコレ、くれたの。」
「…それ、ホント?」
はひと口紅茶を飲んでコクリと頷いた。
「あたし赤好きだから素直にありがとうございますって貰った次の日これ着て職場に行ったら皆にビックリされてね…」
そりゃ医局の人間も驚くだろう。
つい昨日まで後輩だと思って面倒を見ていた少年(ホントは女の子だけど)が、突然エースの印である赤の軍服を着て現れたんだから…。
「その時初めて赤の軍服の意味教えられたの。」
「そ…そうだったのか…」
「一応その後すぐに隊長の所に行って『これ返します』って言ったんだけど、何か上手く言えなくて…気付いたら着替え用の赤の軍服2枚貰って執務室…出てきちゃった。」
「が隊長に進言しに行った事も凄いけどね。」
隊長の所へ進言しに行くって事は、早い話が隊長の意見に異を唱えに行ったって事だろ?
それなのに何も無かったなんて…やっぱり隊長がに甘いって噂は本当かもしれないな。
再びため息をつくと、それをどう取ったのかが眉をハの字に曲げて紅茶を静かにテーブルに置いた。
「やっぱりあたしがこれ着てるの、オカシイ?」
立ち上がって俺に見せるように目の前でクルリと回って心配そうな顔で様子を伺う。
オカシイとかおかしくないとかいうレベルじゃもう無いけど…でも、俺個人の意見とすれば…
「…似合うよ。」
「え?」
「は今、医局だけでなくクルーゼ隊長の秘書も兼務してるだろ?医局でもが良く頑張ってるのは色んな人が知っているし、それにキチンと隊長の秘書としての任もこなしてる。知ってると思うけど隊長は以外秘書をつけた事がないんだから、それだけの能力を隊長が買ってるって事で…それだけで、赤を着る資格は十分あると思うよ。」
「ほ、本当?」
「うん。俺が嘘を言った事ある?」
「無い!!」
「うわぁぁっ」
が正面から俺に飛びついてきて、予想していなかった俺はの体を受け止めるのが精一杯で体勢を崩して床に座り込んでしまった。
「ありがとアスラン!あたしこの軍服に恥じないよう頑張る!」
「あぁ…頑張れ。」
これから歩き始めるを励ますようにそっと背中に手を回して抱きしめる。
あぁ…頑張れ
そうに向けて言った筈の言葉は、実は自分にも言い聞かせた言葉
赤の重みは俺の肩にもしっかり乗っている。
それに応えるよう、頑張らなきゃ…いけない
ファイル捜索…というか、ファイル整理をしていて見つけた種話。
ヒロインは最初、緑の軍服を着ていましたが、途中から赤に変わります。
その理由をアスランが尋ねたら、こんな理由だった…と(笑)
管理人の脳みそが単純なので、大した理由にはなりませんでした(笑)
ま、うちの隊長ってこんなもんです(酷)
だってほら、女の子だったら赤いの着たいじゃないですか(おぉ〜い(苦笑))
しかし昔書いた作品…っていうか、超偽ガンダムSEED DESTINYのヒロインと凄い差がある気がする(汗)
ま、まぁ気にするのは止めるかっ!!(おい)